ステップメールとは/メルマガとの違いや作成上の留意点など

ステップメールの特徴は、顧客が起こした行動(商品購入や資料請求など)をきっかけにして、決まったスケジュールで何通かのメールを届けること。

 

メールマーケティング手法のひとつですが、メールマガジンとは送信回数やメール内容が異なります。両者には異なるメリットがあるので、それぞれを使い分けることが売上を伸ばすコツです。

 

今回はステップメールとメールマガジンの違い、ステップメールのメリットや作成手順・留意点について分かりやすく解説します。

 

1.ステップメールとは

ステップメールとは、顧客があるアクションを起こした時に、あらかじめ用意した計画に沿って段階的にメール配信をすること。例えば、鍋を購入した顧客に対して、商品発送3日後に到着確認メール、4日後に不具合の確認メール・・・と続けて、最後に同じシリーズの商品の紹介メールを送るのがステップメールという手法です。

 

ステップメールの特徴は、メール配信システムを用いれば自動的にメールが送信されること。手間をかけずに顧客と接点が持てます。それに、顧客一人一人に合わせて適切なタイミングでアプローチできるのもメリットです。ステップメールを上手に活用すれば、効率的に売上を伸ばせるでしょう。

 

2.ステップメールとメールマガジンの違い

ステップメールと似ているのがメールマガジンです。両者の違いは、送信するタイミングです。ステップメールは「商品購入」「資料請求」など顧客の行動が始点となり、その後に何度かアプローチします。

 

メールマガジンは企業側が設定したタイミングでメール送信するので、顧客の行動との関連性がありません。

 

両者のもうひとつの違いは、メールの内容と回数です。基本的にステップメールは顧客のとった行動に関連した内容です。英会話教室の資料をダウンロードした顧客へのステップメールなら、英語の勉強方法、英語が話せるメリット、英会話教室の無料体験レッスンの紹介といった内容になるでしょう。

 

ステップメールを送る回数はケースごとに様々で、狙ったアクション(無料体験レッスンへの申し込みなど)を顧客にとらせるために必要な回数を設定します。

 

メールマガジンは不特定多数の登録者に配信されるもの。新商品の案内やセール情報のお知らせに用いられることが多く、1回の配信で顧客の行動を促す内容が一般的です。メールマガジンの回数に終わりはなく、顧客がメルマガ配信を停止するまでメールを届けます。

 

ステップメールもメールマガジンもメールマーケティング手法のひとつですが、送信タイミングや内容・回数が違います。施策を行う目的に合わせて適切な手法を選びましょう。

 

3.ステップメールのメリット

ステップメールは、顧客との接触回数が増えることと、顧客一人一人に合わせたアプローチができることが利点です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

メリット1:お客様との信頼関係を育成できる

ステップメールは、顧客との信頼関係を育成できることがメリットです。商品購入後に何も連絡がない場合と比較すると、到着確認や使い方説明のメールが届いたほうが親切だと感じる人が多いです。

 

例えば、商品が届いた後に使い方が分からず困っている顧客は、販売元に問い合わせをするか迷います。そこにタイミング良くステップメールが届いて、動画を用いて分かりやすく使い方が説明してあれば問題が解決します。このように顧客の役に立つアフターフォローができれば「次もあのお店で買おう!」と思ってもらえるはずです。

 

継続的にコンタクトをとって丁寧にアプローチすれば、顧客から信頼される企業になれます。

 

メリット2:商品やサービスが忘れられる危険を回避できる

ほとんどの顧客は気になったサービスや商品をすぐには購入しません。予算ぎりぎりの商品だと「いいな」「欲しいな」と思っても即決できないので、忘れ去られることのほうが多いくらいです。ステップメールを活用すれば、関心を持った顧客に商品を忘れられるリスクを減らせます。

 

一度は忘れられてもステップメールを見て自社サービスの存在を思い出し、それがきっかけで購買に結び付くケースもあるでしょう。見込み顧客の成約率が高まるのがステップメールのメリットです。

 

メリット3:商品やサービスの魅力を十分に伝えられる

ステップメールは、商品やサービスの魅力を十分に伝えられるのがメリットです。複数回に分けて顧客と接点を持つので、少しずつ商品の情報を伝えられます。一度に大量の商品情報を示すと顧客が混乱したり把握しきれないのが問題です。ステップメールで何回かに分けて知らせたほうが顧客が理解しやすいです。

 

特に高額な商品の場合は、購入までに十分な情報と検討期間が必要になります。住宅購入だと見学会に参加した後に他社と比較したり、品質や価格を入念に確認するはずです。そんな時にはステップメールが非常に役立ちます。小出しにして自社住宅の良さや強みをアピールすれば、専門的な知識がない顧客にも自社製品の魅力を分かってもらえるでしょう。

 

メリット4:購買意欲がアップする

人の心理は何度も見たものに好感を持つ傾向があり、これを「ザイオンス効果(単純接触効果)」と呼びます。そのため、最初に商品を見た時にはさほど興味がなかったのに、ステップメールで何度も商品を目にしているうちに購買意欲がアップする効果が期待できます。

 

しつこすぎるアプローチは逆効果になりますが、押しつけがましくない方法で上手に接点を持てば売上が上がるでしょう

 

メリット5:顧客が必要としている情報をタイミング良く提供できる

ステップメールのメリットは、顧客が求めているタイミングで接点を持てること。顧客自身がアクションを起こした時点からアプローチが始まるので、的外れなタイミングで情報提供して失敗する回数を減らせます。

 

資料請求した後ならサービスに多少の関心があって、詳しい内容を聞きたいと思っている可能性が高いです。接点を持つタイミングを間違えると鬱陶しがられますが、顧客が情報を求めている時期なら好印象を与えられます。

 

常に顧客が必要としている情報をタイミング良く提示できれば、短期間でスムーズにクロージングまで進みます。

 

メリット6:顧客に特別感を与えられる

ステップメールは個別に対応するので、「私のために送ってくれた」という特別感を感じてもらえるのがメリットです。メールに顧客の個人名を入れれば、親近感も増して開封率が上がるでしょう。

 

4.ステップメールの作成手順

ここからは、ステップメールの作り方について説明します。

 

①メールアドレスを収集する

ステップメール作成の第1歩は、顧客のメールアドレスを収集すること。資料請求をした顧客が対象の場合は、申し込みフォームに必ずメールアドレスの記入欄を設けてください。

 

また、資料請求をする顧客の数が少ないとステップメールを送る人が限られてしまいます。自社サイトへのアクセス数を増やす、顧客が資料請求をしたくなる仕組み作りをする、などの取り組みも忘れないようにしましょう。

 

SEO対策をすると共に必要があれば広告を出して、自社のサービスの認知度を上げてからステップメールを活用すると効果的です。

 

加えて、サイト上でサービスの魅力を訴求したり、資料請求した人だけに特典をつけて顧客の行動を促すことも大切です。それに、短時間で簡単に申し込み手続きができないと途中で離脱されてしまいます。

 

サイトへのアクセス数を増やすだけでなく、顧客が資料請求手続きを終了させる段階までがスムーズに進む工夫をしましょう。

 

②目的を決める

次は施策を行う目的を明確にします。目的とは、ステップメールを受け取った顧客にとらせたい行動です。資料請求をした顧客が対象なら、無料トライアルへの申し込み、商品の購入、見積もり依頼などが考えられます。

 

<ステップメールの目的例>

 

・関連商品の購入(クロスセル)

・ワンランク上の商品購入(アップセル)

・商品のメンテナンス申し込み

・リピーター獲得

・企業のブランド力の強化

 

最終的な目的によってステップメールの内容や回数が大きく異なるので、先に目的を決めましょう。

 

③目標を決める

目的をはっきりさせたら、目標を決めます。ステップメールは何回分かのメールを作成する手間やメール配信ツールの利用料金がかかるので、かけたコストに見合う成果が出せないと費用対効果が低くなります。

 

メール開封率や商品の購入数など数字で判断できる目標を決めましょう。目標を設定しておくと、ステップメールを開始した後に効果検証する際にも役立ちます。

 

④ストーリーを決める

次はステップメール全体のストーリーを決めます。ストーリーとは、顧客の行動を最終目的に誘導するための流れです。ゴールがセミナーへの参加なら、最初は資料請求のお礼、その後に資料の内容に関連する情報提供をする過程を経て自社が行うセミナーへの参加を促す…この一連の流れがストーリーになります。

 

いきなりセミナーへの参加を募るよりも、途中で情報提供をしてセミナーの内容への関心を高めたほうが参加者が増えるはずです。最終目的を達成するために最も効果的なストーリーを考えましょう。

 

また、ステップメールを成功させるコツは、信頼関係を築いてから目的に誘導することです。顧客の悩みを解消する手段や有益な情報を提供して「この企業は信用できる」と思ってもらったほうが成功率が上がります。収益に直結する内容だけでなく、顧客に喜んでもらえる内容もストーリーに組み込みましょう。

 

⑤回数や間隔を決める

ストーリーが決まったらメールを送信する回数や間隔を決めます。送信回数に決まりはなく、目的に応じて回数を設定します。

 

注意点は、メール回数が多すぎると途中で飽きられて最終ステップまで進めないこと。かといって回数が少なすぎると、関心を持ってもらえずに狙った効果が出せません。

 

間隔に関しても同様で、目的ごとに最適な間隔が違います。間隔が狭すぎると鬱陶しいと思われるリスクがあり、間隔が空き過ぎると自社サービスを忘れられてしまいます。

 

リピーター獲得が目的なら、目安になるのは商品を使い終わる時期です。1ヶ月で使い終わる調査結果がでたら、1ヶ月以内に最後のメール送信をする必要があります。顧客の立場になって、1ヶ月間にどれくらいの間隔で何回くらいメールが送られてこればリピートしたくなるか想像しましょう。

 

⑥1回ごとの内容を決める

次はメール1回ごとの内容を決めます。ステップメールの基本は、1回のメールに入れるメッセージを1つだけにすること。サンクスメールなら、信頼関係作りのための内容だけにして別商品の宣伝等はしません。個々のメールの目的も明確にしてから作成しましょう。

 

5.ステップメール作成上の留意点

ステップメールは、最初から最後まで一貫性を持たせる必要があります。前回のメールとは雰囲気が全く違う営業メールを届けると、顧客が違和感を持つからです。1通目から最後のメールを受け取る過程で不自然さを感じさせないか確認してくだい。

 

そして、ステップメールは開封率やクリック率などをみながら、常に改善しなければなりません。開封率が低いなら、回数や間隔を変える、件名に工夫を凝らす等の取り組みが必要です。クリック率が低い場合は、メール内容に魅力がないのかもしれません。

 

開封率やクリック率が低いままだとステップメールを送る意味がないので、目的が達成されているか必ず効果検証しましょう。

 

6.まとめ

ステップメールのメリットは顧客と信頼関係を築けたり、商品の魅力を十分に伝えられること。高額な商品など顧客が時間をかけて検討する場合におすすめです。

 

ステップメールを成功させるためには、メールを受け取った顧客の反応をみながら改善を繰り返すことが大切です。内容、送信回数・間隔を変えて色々なパターンを試し、最も効果的な方法を見つけましょう。

 

執筆者:宮林 有紀(みやばやし ゆうき)

医療機関勤務を経てフリーライターへ転身。起業家向けメディアへの執筆をはじめ様々なジャンルのサイトにて執筆。