総勘定元帳とは、仕訳帳に記載された取引を勘定科目ごとに転記した帳簿です。勘定科目ごとに記されているため、財務諸表にミスがあった場合も間違っている箇所を見つけやすいというメリットがあります。そして、所得控除を受けられる青色申告を考えている個人事業主にとっては、必ず作成しなければならない帳簿の一つでもあります。
今回はこの総勘定元帳について、作成するメリットや具体的な作成方法についてご紹介します。
1. 総勘定元帳とは
総勘定元帳とは、すべての取引を勘定科目ごとに分けて記帳したもので、「現金」や「売上」など、それぞれの勘定科目における取引の結果が記されています。単に元帳と呼ばれることもあります。
総勘定元帳は仕訳帳と共に主要簿に分類されており、複式簿記において重要な役割を持っています。そして、決算期には総勘定元帳から財務諸表である貸借対照表や損益計算書を作成するため、会計業務には欠かせない帳簿の一つです。
また、確定申告時に所得から55万円の控除(電子申告者は65万円)が受けられる青色申告を行いたいと考えている個人事業主は、総勘定元帳の提出が義務付けられているため、必ず作成しなければなりません。そして、7年の書類保存期間が定められているため、所定期間内は保存しておく必要があります。
2. 総勘定元帳を作成するメリット
総勘定元帳を作成する最大のメリットは、現在の残高が勘定科目ごとに把握できることです。例えば、仕訳帳の中から勘定科目ごとの残高を把握するには、日付ごとに記帳された仕訳帳の中から特定の勘定科目を探し出し、それらすべての金額を合計する必要があります。そのため、とても煩雑な作業になり、残高を把握するには時間がかかります。しかし総勘定元帳を作成しておけば、各勘定科目のお金の流れがすべて記入されているため、容易に残高を把握できます。
そして、総勘定元帳は財務諸表を作成した時にミスがあった場合にも役立ちます。財務諸表である貸借対照表や損益計算書を作った際、勘定科目の残高が合致しない状況に陥る可能性があります。残高が合致しないということは、どこか間違っている箇所があるため、必ず見つけ出さなければなりません。そのような時に総勘定元帳があれば、勘定科目ごとにお金の流れが記されているため、残高の内訳を追いやすく、間違っている個所を発見しやすくなります。
総勘定元帳は、所得から55万円の控除(電子申告者は65万円)が受けられる青色申告を受けたい個人事業主は必ず作成しなければなりませんが、他の申告方法を考えている方には作成の義務はありません。しかし、総勘定元帳を作成するメリットもあるため、帳簿の作成を前向きに検討してみても良いでしょう。
3. 総勘定元帳の作成方法
総勘定元帳を作成するには、はじめに会社が使用しているすべての勘定科目ごとに勘定口座を用意する必要があります。その後、仕訳帳から記録する仕訳の内容を総勘定元帳へ転記していきます。よって、総勘定元帳を作成するには仕訳帳の存在が必須です。なお、総勘定元帳への記帳は、簿記の計算作業における最終段階にあたります。
また、総勘定元帳の作成方法は「標準式」と「残高式」の2種類があります。「標準式」は、借方と貸方に分けて記帳する方式で、「残高式」は毎回の記帳時にそれぞれの勘定科目ごとの残高を計算し、その残高を記帳する方式です。「残高式」の記帳法には、いつでもすぐに現在の残高を把握できるという特長があります。
今回は比較的多くの会社で採用されており、残高を把握しやすい「残高式」の作成方法についてご紹介します。
日付
取引が行われた日付を記入します。月が同じであれば日だけを記入し、同じ日であれば「〃」と記入します。
摘要(相手勘定科目)
仕訳を行った時の相手側の勘定科目を記入します。相手方の勘定科目が複数ある場合は「諸口」と書き込みます。
仕丁
今回記帳する仕訳が記されている、転記元の仕訳帳のページを記入します。
借方、貸方
借方は仕訳帳に記帳されている借方欄の金額を記入し、貸方は仕訳帳の貸方欄に記帳されている貸方欄の金額を記入します。
残高
勘定科目が借方の場合は一つ前の金額に足し、勘定科目が貸方の場合は直前の金額から引き、その記帳をする時点での残高を計算して金額を記入します。
4. まとめ
総勘定元帳は、仕訳帳と同じく重要な帳簿です。会社のすべての取引を勘定科目ごとにまとめてあり、現在までのお金の流れや残高が分かります。
作成するにはそれなりに手間がかかりますが、事業運営の基本的な記録として、すべての事業主に備えておくことをお勧めします。
フリーのWebライターとして、幅広いジャンルの記事を担当。現在はビジネス関連の記事を多数執筆中。