愛知県の制度融資/中小企業の資金調達のために

愛知県の制度融資は県、信用保証協会、金融機関が連携して行っている融資制度です。融資対象は中小企業者で、設備資金または運転資金として利用できます。

 

今回は、愛知県の融資制度について概要や融資限度額などをわかりやすく解説します。

 

融資対象者の条件や利率はコースごとに様々です。愛知県の融資制度の利用を検討している方は、自社に最適なコースを見つけましょう。

 

1.愛知県の融資制度とは

 

愛知県の融資制度とは、中小企業者が自力で金融機関から資金調達できる状態になるまでの支援を目的とした融資制度です。

 

金融機関から直接融資を受けたくても、創業間もない会社や経営状態が不安定な企業は審査に通りにくいです。

 

そんな問題を抱える中小企業をサポートするのが愛知県の融資制度です。公的機関である信用保証協会が保証人になることで、信用力が低い中小企業が融資を受けやすくなります。

 

ただし、救済的融資や社会保障的融資ではないので、計画的な経営をしておらず返済能力がない企業は融資対象になりません。

 

その他に、愛知県の融資制度にはこんな特徴があります。

 

<愛知県の融資制度の特徴>

 

・原則として固定金利

・資金使途は設備資金または運転資金

・返済が滞ったら信用保証協会が代位弁済する

(中小企業者は信用保証協会へ借入金を返済)

・信用保証協会に信用保証料を支払う必要がある

・信用保証料は通常よりも低く設定されている

 

愛知県の融資制度の申し込み窓口は金融機関です。一覧表に記載されている金融機関の県内にある店舗で申し込み手続きが行えます。

 

愛知県の融資制度 取扱金融機関一覧

https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/374821.pdf

 

2.愛知県の融資制度の概要

 

愛知県の融資制度は、以下の4種類です。

 

①小規模企業等振興資金(小規模企業者向け)

  融資限度額 融資期間/利率
通常資金 5,000万円 3年/年1.3%~10年/年1.6%
小口資金 2,000万円 3年/年1.1%~10年/年1.4%

 

②一般事業資金(一般的な中小企業向け)

  融資限度額 融資期間/利率
一般事業資金 2億円 1年/年1.3%~10年/年1.7%

 

③中小企業組織強化資金(組合向け)

  融資限度額 融資期間/利率
中小企業組織強化資金 3億円 1年 商工中金所定

 

④経済環境適応資金(政策性の高い資金)

  融資限度額 融資期間/利率
再生・事業承継支援資金 2億8,000万円 3年/1.2%~15年/年1.7%
サポート資金 3,000万~2億8,000万円 1年/金融機関所定

~15年/年1.7%

創業等支援資金 3,500万円 3年/年0.8%~10年/年1.1%
パワーアップ資金 1,500万円~2億8,000万円 1年/年0.9%~15年/1.5%

 

これらの中から、いくつかのコースの詳細を解説します。

 

(1)一般事業資金

一般事業資金は、対象範囲が広いのが特徴です。法人の場合は本店または事業所、個人事業主の場合は住居または事業所が県内にある中小企業者のすべてが対象です。

 

中小企業者とは、会社、個人、医療法人、特定非営利活動法人、協同組合などですが、対象業種は愛知県信用保証協会の保証対象業種に限られます。

 

以下の一覧表の「資本金額」か「常時使用の従業員数」のどちらかに当てはまる方が、融資対象者です。

 

業種 資本金額 常用従業員数
飲食店を含む小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
製造業・建設業・運送業 3億円以下 300人以下
医療法人等 300人以下

 

※個人事業者または会社で次の業種は以下の条件となります。

業種 資本金額 常用従業員数
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く) 3億円以下 900人以下
ソフトウエア業 3億円以下 300人以下
情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
旅館業 5,000万円以下 200人以下

 

対象外となるのは、農業、林業、漁業、一部の遊興娯楽業、金融業、学校法人、宗教法人など。その他、税金の支払いを滞納している方、返済を滞納している借入がある方も利用不可なので気を付けてください。

 

一般事業資金の融資限度額、融資期間、利率、保証料率は以下の通りです。

 

融資限度額 融資期間 利率 保証料率
設備

2億円

1年超3年以内 年1.4% 年0.40%~1.83%

 

3年超5年以内 年1.5%
5年超7年以内 年1.6%
7年超10年以内 年1.7%
運転

2億円

1年以内 年1.3%以内 年0.38%~1.74%
1年超3年以内 年1.4% 年0.40%~1.83%
3年超5年以内 年1.5%
5年超7年以内 年1.6%

 

(2)小規模企業等振興資金

小規模企業等振興資金は、規模の小さな企業向けのコースで、『通常資金』と『小口資金』の2種類があります。

 

◆『通常資金』の融資対象

従業員50人(商業・サービス業は30人)以下の会社、個人、企業組合、医療法人、特定非営利活動法人

 

融資限度額 融資期間 利率 保証料率
設備

5,000万円

1年超3年以内 年1.3% 年0.38%~1.74%

 

3年超5年以内 年1.4%
5年超7年以内 年1.5%
7年超10年以内 年1.6%
運転

5,000万円

1年超3年以内 年1.3% 年0.38%~1.74%

 

3年超5年以内 年1.4%
5年超7年以内 年1.5%

 

■『小口資金』の融資対象

従業員20人(商業・サービス業は5人※宿泊業と娯楽業は20人)以下の会社、個人、企業組合、医療法人

 

※申込額を含め、保証協会の保証残高が2,000万円以内であることが条件

 

融資限度額 融資期間 利率 保証料率
設備

2,000万円

3年以内 年1.1% 年0.46%~1.83%

 

3年超5年以内 年1.2%
5年超7年以内 年1.3%
7年超10年以内 年1.4%
運転

2,000万円

3年以内 年1.1% 年0.46%~1.83%

 

3年超5年以内 年1.2%
5年超7年以内 年1.3%

 

『通常資金』と『小口資金』の違いは責任共有制度に関する点です。責任共有制度とは、信用保証協会が80%、金融機関が20%の割合で責任を共有する制度。通常資金は責任共有制度の対象ですが、小口資金は対象外で信用保証協会が100%保証します。

 

(3)新型コロナウイルス感染症対応資金

新型コロナウイルス感染症対応資金は、新型コロナウイルス感染症の影響で売上高等が減少している中小企業者が対象です。

 

融資対象者は以下の【1】~【4】のどれかに当てはまる人です。

 

【1】SN4号又は危機関連の認定を取得している

【2】SN5号の認定を取得している個人事業主のうち小規模事業者である

【3】SN5号の認定を取得していて、かつ認定書上の売上高等減少率が15%以上である

【4】SN5号の認定を取得している法人または個人事業主のうち小規模事業者以外で、かつ認定書上の売上高等減少率が15%未満である

 

※小規模事業者の条件:常時使用する授業員の数が20人(宿泊業、娯楽業を除く商業・サービス業は5人)以下であること

 

<セーフティネット(SN)保証4号の認定基準>

 

以下の2条件を両方満たした場合に認定が受けられます

 

◇指定地域で1年以上継続して事業を行っている

 

指定地域一覧はこちら

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2021/210226corona.pdf

 

◇新型コロナウイルス感染症が原因で最近1ヶ月の売上高等が、前年同月に比較して20%以上減少していて、かつその後2ヶ月間を含む3ヶ月間の売上高等が前年同期に比べて20%以上減少することが見込まれる

 

<セーフティネット(SN)保証5号の認定基準>

 

◇指定業種に属する事業を行っていて、最近3ヶ月間の売上高等が全年同月比で5%以上減少している(最近1ヶ月の売上高等が前年同月比で5%以上、かつその後2ヶ月間(見込み)を含む3ヶ月の売上高等が前年同月比で5%以上減少でもOK)

 

指定業種一覧はこちら

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2021/210119_5gou.pdf

 

<危機関連保証の認定基準>

 

◇最近1ヶ月の売上高等が前年同月比で15%以上減少していて、かつその後2ヶ月間を含む3ヶ月間の売上高等が前年同月比で15%以上減少することが見込まれる

 

新型コロナウイルス感染症対応資金の詳細は以下の通りです。

 

融資限度額 融資期間 利率 保証料率
設備・運転

6,000万円

3年超5年以内 年1.2% 年0.85%
5年超7年以内 年1.3%
7年超10年以内 年1.4%

 

新型コロナウイルス感染症対応資金の特徴は、融資対象者【1】~【3】に該当する場合には融資実行日から当初3年間は利息が全額補助されること。

 

信用保証料は融資対象者【1】~【3】が全額補助、融資対象者【4】は2分の1が補助されます。

 

※新型コロナウイルス感染症対応資金は、2021年3月31日協会申込み受付分までが実施条件です

 

3.まとめ

愛知県の融資制度のメリットは、固定金利なので返済計画が立てやすいこと。信用保証協会への保証料の支払いが必要になりますが、通常よりも低い値に設定されていて、信用保証料に関する補助制度がある市町村もあります。

 

愛知県の融資制度を利用したいけど手続きの仕方が分からない、融資希望額をいくらにするかで迷っている、といった問題がある場合は、資金調達の専門家に相談するのがおすすめです。プロのアドバイスを参考にして、資金調達に関する悩みを解消しましょう。

 

執筆者:宮林 有紀(みやばやし ゆうき)

医療機関勤務を経てフリーライターへ転身。起業家向けメディアへの執筆をはじめ様々なジャンルのサイトにて執筆。