今や国内のSNS利用率は69%(※)まで上昇しており、幅広い年代でSNSが日常的に使われています。これから起業の予定がある方、すでに事業を営んでいる方も、集客などのためにSNSをビジネスで活用していこう、と考えている方は多いのではないでしょうか。
とはいえ、プライベートではSNSを使いこなせていても、「ビジネスではどうSNSを使えば有効なのかわからない」「自分のビジネスには、どんなSNSが合っているのだろう」という方もいらっしゃると思います。
そこで本記事では、SNSをビジネス活用する上でのメリットや留意点、いろいろなSNSの特徴をわかりやすくご紹介します。
(※)総務省「令和2年度情報通信白書」より
1.なぜSNSを活用するのか
ビジネスにSNSを取り入れ、目指す効果を出していくためには、まずSNSの特徴を知る必要があります。メリットだけでなく、留意点もしっかり理解しておきましょう。
(1)SNSのメリット
SNSは「Social Networking Service(ソーシャルネットワーキングサービス)」という名の通り、社会的なつながりを構築するサービスです。利用者は友人や、趣味・好みの似通った人たちと交流しながら、興味のあることや暮らしに必要な情報を収集したり、自ら発信したりできます。
ビジネスでSNSを活用する場合、利用者の中からターゲットとなる顧客層に照準を合わせ、ターゲットのライフスタイルや好みに合わせたストーリーを発信してピンポイントでアプローチできる点は、メリットのひとつです。
ターゲットの顧客層から共感が得られ、フォローしてもらえれば、そこから口コミなどによってファンがさらに広がっていく期待もできます。
また、コストをかけずに集客できる点も大きなメリットといえるでしょう。一般的にSNSは誰でも無料で利用することができ、手持ちのスマートフォンやパソコンで気軽に始められます。ネットで広告を出したり、チラシを制作したりするには、それなりにコストがかかります。「開業したばかりでPRにお金がかけられない」といった方がチャレンジしやすいことも、SNSの魅力です。
(2)SNS活用の留意点
SNSは、ただ何となく、もしくはやみくもに発信をしていても、効果が出にくいばかりか、投稿に魅力を感じないファンが離れていくなどの悪影響につながる可能性もあります。
効果的に活用するには、「SNSを何のために活用するのか」を明確にしておくことがとても大切です。
例えば、
・売り上げに直接つなげるため
・ブランドイメージを作るため
・見込み顧客を増やすため
など、活用する目的を明らかにすることで、よりターゲットに響く発信ができます。さらに達成基準を設けて取り組むと、発信者のモチベーションも高まります。
SNSでの集客は、すぐに効果が現れるケースは少なく、多少の時間がかかるものです。継続的な発信が必要なため、SNSの運用に関わるすべてのスタッフに活用目的、達成基準を周知して、ブレない発信を長く続けられる工夫ができるとよいでしょう。
また、よくも悪くも反応がダイレクトに届くのがSNSの特徴です。不適切な投稿、誤解を招くような投稿には、ネガティブなコメントが寄せられたり、時には炎上したり、ファンが一気に離れていったり、といった事態も考えられます。発信内容にはくれぐれも注意しましょう。
2.いろいろなSNS
SNSとひとことで言っても、その種類はさまざま。今もなお、新しいSNSが登場し続けており、どれをビジネスに使うか見極めに迷うところです。
SNS選びを誤ってしまうと、せっかくよい投稿をしていても希望のターゲットに届かないという場合も。それぞれの特徴をきちんと理解した上で、自分のビジネスに合ったものを選びましょう。
ここでは、SNSをビジネスで活用するなら、必ず押さえておきたい4つのメジャーなSNSを紹介します。
(1)Facebook
- 中高年層の利用者が多い
SNSの中で利用者が世界で最も多いFacebook。サービスが始まった当初は学生の利用が大半でしたが、現在は30代以降の中高年層の利用が増えています。
- 炎上しにくい
基本的に実名で登録し利用することが推奨されています。そのため信頼性が高く、投稿に対し非難や批判が殺到するなどの「炎上」は、比較的しにくいことが特徴です。
- おすすめのターゲットは既存顧客
他のSNSと比べ、知人や友人など近しい関係の人とつながるケースが多いことも特徴。オープンなコミュニティーよりは、距離の近い閉じられたコミュニティーの方が好まれる傾向にあります。事業者は、Facebookページやグループなどの機能を使い、既存顧客やある程度確度の高い見込み客をターゲットにして活用するのがおすすめです。
(2)Twitter
- 幅広い層にアプローチできる
若年層から中高年層まで幅広い年齢層が利用しているTwitter。職業や趣味、興味対象などさまざまな軸でつながりができており、いろいろな角度からのアプローチや、ターゲットを限定しすぎない広範囲に向けたアプローチなどが可能です。
- 拡散力高め、炎上しやすい一面も
リツイート機能などにより拡散力が非常に高く、よい情報も悪い情報も広まりやすいSNSです。さらに、匿名の利用者が多いということもあり、「炎上」しやすい点は特徴のひとつとして覚えておきたいところです。
- 投稿は140文字まで
Twitterで投稿できるのは日本語で140字までです。テキスト数の制限があるので、詳細を長く説明するよりも端的でキャッチーな発信が求められます。
(3)Instagram
- 若年層の利用者が多い
Instagramは、10代〜20代といった若い世代、特に女性に多く利用されています。
- ビジュアルメインのSNS
文章よりも、写真や動画といったビジュアルを重視した発信が中心となっています。魅力的な投稿でターゲットの視覚に訴えることで、直接的に購買行動に結び付く割合が極めて高くなります。
- 見せ方に工夫が必要
見た目が何よりも大事なInstagram。一瞬で「かわいい!」「買いたい!」と思わせるような写真を撮るテクニックや加工技術、ブランドの世界観が伝わるような見せ方の工夫などが必要です。24時間で投稿が消えるストーリーズや生配信ができるインスタライブなど、発信方法の選択肢がいくつかあります。効果的なやり方を模索してみましょう。
(4)YouTube
- 年齢層は広め
特に多いのは若年層ですが、50代、60代といった年配のユーザーも少なくありません。広範囲のターゲットにアプローチできます。
- じっくり説明できる
TwitterやInstagramでは説明しきれないという内容も、YouTubeであれば、動画でじっくりわかりやすく説明できます。商品の上手な使い方など、時間をかけて紹介したいことを発信するのに適しています。
- 動画制作に手間がかかる
動画を投稿するまでには、撮影した動画の長さを整えたり、字幕を付けたり、といった編集作業が必須です。他のSNSに比べ、多少の手間がかかる点はYouTubeの特徴といえるでしょう。
3.まとめ
ビジネスで活用できるSNSについてご紹介しました。ご自身のビジネスにマッチしそうなSNSは見つかりましたでしょうか?
SNSは、無料ですぐ始められるというメリットがある反面、効果が出るまでに時間がかかるため、継続をあきらめて発信を止めてしまう企業も意外とあります。反応が悪ければ、発信方法や使用するSNSを見直すなどしながら、ぜひ根気強く続けてみてください。ひとつのSNSに絞らず、複数のSNSを活用してみるのも一案ですよ。
金融機関勤務を経て、フリーライターへ転身。お金に関するコラム執筆をはじめ、企業のWebコンテンツやメルマガ制作など、幅広いジャンルのライティングに携わる。ファイナンシャル・プランニング技能検定2級。