事業計画書の書き方と作り方を解説!起業などに重要である理由もご説明

起業や事業拡大に際して「日本政策金融公庫」による融資を検討している方も多いでしょう。融資の審査の際に大きな影響を与えるのが「事業計画書」です。事業計画書には、事業プランの概要だけではなく、それを実現するための具体性な説明が求められます。ここでは、事業計画書の書き方のポイントや必要な項目などをご紹介します。

【事業計画とは】事業運用に必要なプランの計画

金融機関から融資を受けたいと思った場合、すでに継続している事業であれば、前年度の決算書等で返済の可能性が判断できますが、これから起業したり新事業を開拓したりする場合は、まだ実績がない状態です。そこで、計画中の事業をいかに実現していくのか、また収益が出る可能性を明確化するために事業計画書が必要となります。起業の目的や動機、その業種での経験、取扱商品やサービス内容はもちろんですが、独自のセールスポイントや予定される取引先、収支見込みや資金調達の計画などを具体的に記載することが必要です。

事業計画が起業などに重要である理由

「事業計画書」は、起業時や事業を拡大する際に、融資を申し込む金融機関や、取引を予定している企業に対する説明資料の役割を果たします。たとえば日本政策金融公庫の場合、事業計画書に業種や融資の種類に応じた必要書類を添えて提出し、面談を経て融資の可否が決定されるので、事業計画書は非常に重要です。
もしすぐに融資を必要としない場合であっても、頭の中で思い描いている事業内容を書面にすることで、事業のアウトラインがはっきりとし、実現可能性や不足項目が確認できます。
引用:創業計画Q&A
引用:国民生活事業

事業計画書の書き方のポイント

融資を受けるためには、融資する側に「回収の見込みがある」ということをしっかりアピールできる、説得力のある事業計画書を作成することが大切です。書類作成にあたり、書き方のポイントとして以下の5点が挙げられます。

【事業計画書の書き方ポイント】

  • 事業内容は具体的に記載する
  • 誰が見てもわかりやすいようにまとめる
  • 実現できる目標を設定する
  • 根拠や裏付けのある数値を記載する
  • 競合との差別化を図る

これらの内容については、以下で詳しく見ていきましょう。

事業内容は具体的に記載する

融資の申し込みをする際には、事業の計画内容だけでなく、申請者の事業に対する熱意や分析力、管理能力などもチェックされます。たとえ同じ計画内容であっても、プレゼンテーションの優劣が審査の結果を左右することもあるので、しっかりした事業計画書を示して強みを具体的にアピールすることが重要です。計画にまつわる情報、数字の裏付けなどがあれば事業計画書に積極的に盛り込んで情報に厚みを持たせましょう。

誰が見てもわかりやすくまとめる

事業計画書にはできるだけ多くの情報を盛り込むことが望ましいですが、単に文字を羅列するだけでは読みにくく、わかりにくいものになってしまいます。そこで、すっきりとわかりやすいレイアウトに仕上げることも重要なポイントとなります。具体的には、表やグラフなどを利用し、情報を可視化します。また、要点を簡潔にまとめた見出しを挿入し、項目を適度な長さで区切ることも効果的です。いかに相手にスムーズに理解してもらえるかを念頭に置き、わかりやすい事業計画書を作成してください。

実現できる目標を設定する

事業計画書には、その事業で成し遂げる目標を盛り込みます。どのような目標を設定するかも、審査の結果を左右する重要なポイントです。金融機関や投資家などの融資する側は回収の見込みを重視するので、あまり高すぎる目標を設定していると、実現の可能性が低いとして計画の信用性を疑います。一方、手堅くするために低すぎる目標を設定しても、収益が期待できないと判断され、審査に通りにくくなります。これら二つのバランスを取って事業計画書の信用性を高めることが必要です。

根拠や裏付けのある数値を記載する

計画の信用性を大きくアップするのが「数値」の提示です。事業計画書には、その計画が実現可能といえる根拠となるデータを積極的に入れましょう。たとえば、利益の裏付けとなる、商品価格の平均値や顧客の統計などの数値が挙げられます。政府や公共機関が公表しているデータを用いると、より信頼性が高くなるでしょう。何の裏付けもない計画では、事業に対する分析が不十分とみなされてしまいます。

競合との差別化を図る

堅実な事業計画であっても、すでに競合する他社が多く存在する場合は、過当競争により十分な収益が見込めない可能性が高いと判断されます。その場合は、他社に真似のできないアイデアを打ち出し、差別化を図ることが必要です。まずは競合する他社のビジネスを細かく分析したうえで、それに対する自社の独自性や優位性を具体的にアピールしましょう。

事業計画書の作り方

資料や分析データなどの準備が整ったら、事業計画書の作成に取りかかりましょう。以下に「事業計画書に必要な10項目」をリストアップしました。どれも審査する側が重点的にチェックする項目です。参考にしていただき、具体的で明確な計画書を作ってください。

事業計画書に必要な10項目

事業計画書に必要な10の項目です。一つ一つ確認しましょう。
引用:事業計画書の作成例

  • 企業の概要
    商号、所在地、電話番号、メールアドレス、ホームページアドレスのほか、役員、株主、主要取引先などを記入します。
  • プロフィール
    起業にあたって融資を申し込む場合、特に代表者の経歴が重視されます。設立の動機、事業に関する経験やスキル、熱意も含めてアピールしましょう。
  • 事業内容
    事業の名称とコンセプト、主力商品・サービスの内容などを具体的に記載します。
  • 競合優位性
    競合する他社を複数調査し、その分析データと照らして自社の優位性を提示します。
  • 市場調査と戦略
    事業の市場環境を分析し、マーケティング戦略を提示して事業の成長性を明確にします。
  • 販路の開拓
    販売経路をいかに拡大していくかというプランを記入します。前職からの取引先やプロモーション計画も記載します。
  • 経営計画
    開業予定日までのスケジュールを含む、業務の流れを進行表にします。
  • 事業のリスクと解決策
    起こり得るリスクを挙げ、それに対する解決策を記入します。
  • 体制と人員計画
    社内の命令系統や権限、役割分担、各部署の人数などを組織図にします。
  • 資金計画
    売上見込み、原価、人件費、設備などをまとめ、返済プランとともに財務計画書にします。

事業計画書のテンプレートやフォーマットを使用する

事業計画書を作成する際には、一から独自に作成しても構いませんが、融資をする金融機関が書式のテンプレートやフォーマットを用意していることがあります。「日本政策金融公庫」にもテンプレートが用意されています。目的に合わせてさまざまな書式があるので、公式ホームページから必要な書式をダウンロードして使用すると良いでしょう。事業計画の立て方を解説した「創業の手引」や「事例集」も無料配布されています。
引用:株式会社日本政策金融公庫 公式ホームページ(各書式ダウンロード)

まとめ

事業計画書を作成する際には、まず自分が思い描いている事業内容を全て書き出してみて、読みやすくわかりやすいように整理していくと良いでしょう。根拠のあるデータを使いながら、文字やグラフに落とし込むことによって、現在不足している部分や、反対に不要な部分がよりはっきりわかります。融資を受けるには業界スキルや熱意も重視されるので、何を実現したいのか、わかりやすい事業計画書を作成して力強くアピールしてください。