LLC(合同会社)とは/株式会社と何が違うのか

法人設立と聞いて一番に思い浮かべるのは株式会社ですよね。でも、日本版LLCと呼ばれる「合同会社」にしたほうが良いケースもあります。LLCの特徴は社員自身が出資して事業を運営すること。出資額に関係なく1人1票の議決権を持ちます。

株式会社と合同会社には色々な違いがあるので、事業規模や経営戦略にマッチする企業形態を選ぶことが大切です。

今回はLLCの基礎知識、株式会社と合同会社の違い、LLCのメリット・デメリットについて解説します。

会社設立のスタート地点でつまずかないよう、株式会社と合同会社の違いを明確にしておきましょう。

1. LLC(合同会社)とは

LLCとはアメリカで株式会社と同じくらい普及している会社形態で、日本版LLCは「合同会社」と呼ばれています。

LLCとは?

  • Limited Liability Companyの略語
  • 日本版LLCは「合同会社」と呼ばれる
  • 2006年の会社法の改正で新設された会社形態
  • 2019年に設立された法人総数の約25%は合同会社
  • 一般的には中小企業向けと言われている

日本の会社形態は「株式会社」「合同会社(LLC)」「合資会社」「合名会社」の4種類。最もメジャーなのが株式会社ですが、アップルジャパンやアマゾンジャパン、西友、P&Gといった有名企業がLLCを選択したことが話題になるなどLLCへの注目度が高まっています。

 

株式会社よりも知名度が低いのは、合同会社が2006年(平成18年)の会社法改正にて創設された新しい会社形態だからです。しかし、LLCを採用する企業の数が徐々に増え、2019年度に設立された法人の約4分の1が合同会社です。

合同会社が新たに設立された背景には法改正による有限会社の新設廃止があります。株式会社よりも小規模な会社を設立したい人のために有限会社に代わる存在として「合同会社(LLC)」が追加されました。

LLCの特徴は出資者と経営者が同一であること。わかりやすく言うと、従業員がお金を出し合って会社経営をするイメージで、原則として1人1議決権です。

LLCのもうひとつの特徴が、法的な責任範囲が出資額以内に収まる“間接有限責任”となっている点です。出資額以上の責任が生じる「合資会社」「合名会社」よりもリスクが低いです。

「株式会社」はLLCと同じ“間接有限責任”ですが、両者にはたくさんの違いがあります。次はLLCと株式会社の違いについて説明します。

2. LLC(合同会社)と株式会社の違い

 

LLC(合同会社) 株式会社
設立費用 約6万円 約20万円
意思決定にかかる時間 早い 遅い
利益配分 自由に決められる 出資比率で決まる
財務情報の開示義務 なし あり
役員の任期 なし 原則2年

 

設立費用に関しては、免許登録料などで株式会社は約20万円かかりますが、LLCは6万円程度。ランニングコストもLLCのほうが安いのでコスト面では圧倒的にお得です。

株式会社は国が発行する官報に財務情報を公示する義務があり、掲載費用として毎年約6万円がかかります。合同会社は決算公示義務がないので掲載費用を支払う必要がありません。

それに、役員の任期がある株式会社は役員が変更するたびに定款書き換え費用6万円がかかるのに対し、役員の任期がない合同会社は定款書き換え費用のコストも削減できます。

そして、会社の経営スピードを左右する意思決定にかかる時間も違います。出資者と経営者が異なる株式会社だと、株主総会や取締役会の開催が義務付けられているため良いアイデアがあっても即決できません。

出資者でもある社員が経営方針を決められるLLCは迅速な意思決定が可能です。会社形態を合同会社にすれば、株主総会や取締役会の設置は不要です。

また、株式会社は出資比率によって利益配分が決まりますが、合同会社は出資比率に関係なく自由に利益配分を変えられます。

LLCは株式会社よりもコストがかからず、自由度の高い経営が実施できます。

3. LLC(合同会社)のメリット、デメリット

ここからは、LLCのメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

LLCのメリット

メリット1:設立費用が安く短期間で設立できる

合同会社のメリットは法人設立にかかる費用を節約できること。株式会社に比べて約14万円も安いので、浮いた資金を事業に回せます。

さらに、手続きが簡単で設立までにかかる時間が短いのもLLCの良さです。数週間~1ヶ月かかる株式会社と違い、早ければ数日、遅くとも2週間程度で合同会社を設立できます。

メリット2:迅速な意思決定が可能

株主の承認を得る必要のないLLCは戦略を立てたらすぐに実行できるのが強みです。決断スピードの遅さが経営課題となっている日本企業が多いですよね。

デジタル化が進んだ現代では、迅速に意思決定できないと命取りになりかねません。合同会社にすれば決断・実行・リリースのサイクルが早いので、そんな悩みとは無縁です。

メリット3:利益配分が自由に決められる

LLCは利益配分に関する縛りがなく、

・出資金が少なくても社に貢献した人の配分を多くする

・出資比率に関係なく成果で配分を決める

など、独自のルールで運営できるのが魅力です。

出資金額に関係なく頑張れば配当が多くなる仕組みにすれば、社員のモチベーションアップに役立ちます。その結果、競争原理が働き社の成長につながる効果も期待できます。

メリット4:決算公告の義務がない

株式会社は決算書で会社の経営状況を株主に報告する必要があります。でも、株主のいない合同会社は決算公告の義務がありません。決算公告にかける手間や時間を節約できるのもメリットです。

メリット5:出資者が有限責任である

有限責任とは倒産した時の責任が限定的であることで、出資者は出資した額までしか責任が生じません。

無限責任だと、会社の責務について無限に責任を負わないといけないためリスクが高いです。合同会社は有限責任なので倒産した時に出資したお金を失うだけで、会社が外部企業と取引した借金は支払わなくてOKです。

 

 LLCのデメリット

デメリット1:知名度が低い

LLCは株式会社に比べると認知度が低く信頼されにくいです。怪しい会社だと判断されると取引に応じてもらえません。株式会社としか契約を交わさないと決めている企業もあるほどなので、社会的な信用度の低さが最大のデメリットです。

デメリット2:社員が対立すると重要事項が決められない

重要事項が株主総会で必ず決まる株式会社と違い、合同会社は原則として出資社員の過半数の合意がないと重要事項が決められません。そのため、人間関係トラブルが起こったり、社員間で意見が対立したりすると、経営に悪影響を及ぼす恐れがあります。

デメリット3:株式公開ができない

株式公開ができないLLCは資金調達額が制限されるのがデメリットです。事業を拡大しようと思っても株主からの資金援助を受けられないので、社員自らが追加で資金を出すか融資や補助金などに頼るしか方法がありません。

まとめ

人気急上昇中の合同会社ですが、今後も採用する企業が増えると予測されます。株式会社よりも低コストで柔軟な対応ができるのがLLCの魅力。しかし、良い点だけでなく悪い点も確認することが大切です。

LLCを採用する大企業もあるとはいえ、特性を見る限り合同会社は中小事業者に向いていると言えます。株式会社とLLCの違いを押さえて、あなたが行う事業内容や経営方針に合った企業形態を選びましょう。

 

執筆者:宮林 有紀(みやばやし ゆうき)

医療機関勤務を経てフリーライターへ転身。起業家向けメディアへの執筆をはじめ様々なジャンルのライティングに携わる。得意分野はマーケティング関連。

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