テレマーケティングとは電話を通じて顧客と接点を持つことで、訪問営業よりも時間や手間を節約できるのがメリットです。しかし、テレマーケティングならではの難しさがあります。
闇雲に電話をかければ良いわけではないので、目的を明確にした上でテレマーケティングを行うことが大切です。
今回はテレマーケティングの基礎知識、メリット・デメリット、成果をあげるためのポイントについて分かりやすく解説します。
1.テレマーケティングとは
テレマーケティングとは、電話を使って顧客とコミュニケーションをとるマーケティング手法。例えば、電話での営業活動やクレーム・問い合わせ対応などです。
テレマーケティングは、インバウンド方式とアウトバウンド方式に分類できます。
◆インバウンド方式
インバウンド方式とは、顧客から電話がかかってくるのを待つ方法。製品や企業に興味を持った顧客と接点を持てるのが特徴で、すでに購買意欲が高い状態ならスムーズに成約に結び付きます。
また、インバウンド方式には苦情や問い合わせへの対応も含まれますが、これらは顧客満足度を高めることが目的です。
◆アウトバウンド方式
アウトバウンド方式とは、企業から顧客に電話をかける方法です。インバウンド方式と比較すると、関心が薄い層へのアプローチになるので、ある程度の数をこなさないと成約数を増やすのは難しいです。
しかし、無作為に電話をかけるのは非効率です。確度の高い見込み顧客をあぶり出して営業を仕掛けることが大切です。
2.テレマーケティングのメリットとデメリット
テレマーケティングには色々なメリットがありますが、デメリットも存在します。それぞれを詳しく見ていきましょう。
(1)テレマーケティングのメリット
テレマーケティングの最大のメリットは営業効率が向上することです。お客様がいる場所まで訪問する方法に比べると、時間も手間もかかりません。
顔を見て話したほうが販売数が増える案件は訪問営業、電話で事足りる案件はテレマーケティング、と使い分けると効率的に売り上げを伸ばせます。
それに、気軽に電話で済ませることをお客様側が望んでいるケースが多いので、顧客満足度の向上につながるのもメリットです。
対面で会話をする営業方法は、お客様にとっても負担が大きいもの。電話なら気を遣わずに話せる…と感じている顧客にはテレマーケティングが向いています。
また、文字ではなく音声でのやり取りなので、メールよりも迅速丁寧に対応できるのもテレマーケティングの魅力です。激怒している顧客からのクレーム電話があった場合、即座に謝罪の意を示し、相手の要望を満たす対応をすればお客様の怒りが鎮まるでしょう。
商品の売り込みに関しては、メールよりも電話のほうが訴求力が高いです。「話しているうちに、この商品が欲しくなってきた!」と思わせる営業をすれば成約率が上がります。
訪問営業と営業メールの中間に位置すると言えるのがテレマーケティングです。訪問するよりも効率的で、営業メールにはない“音声によるリアルタイムの関わり”を持てます。
(2)テレマーケティングのデメリット
テレマーケティングのデメリットは、業務を行う人の教育が必要になることです。
テレマーケティングは誰でも簡単にできるわけではありません。商品販売を行うなら、商品についての詳細な知識に加えて上手な売り込み方を心得ておく必要があります。
対面接客では優れた営業マンでも、電話で好印象を与えるコミュニケーション方法に関しては未熟かもしれません。
テレマーケティングで成果を出すためには、従業員の教育が必須です。しかも、一定レベル以上のスキルを身に付けるまでには時間がかかり、本人の努力も必要になります。
そして、もうひとつのデメリットが、SFA(Sales Force Automation)やCRM(Customer Relationship Management)などのシステムやアプリを導入しないといけないこと。SFAは営業、CRMはマーケティングに特化したツールです。
SFAやCRMなどのシステムが必要なのは、顧客情報を整理しておかないとスムーズに対応できないからです。
クレームの電話がかかってきた時には、すぐに契約内容をチェックして、情報を確認しながら対応しないといけません。システムやアプリを使えば、得た情報をデータ化して見やすい状態に整えられます。
それに、お客様とのやり取りやクロージングまでの経過などを記録・検証しないと、売上が上がりません。
また、テレマーケティング活動で得たデータを他部署と共有するためには、SFAやCRMを用いて一元管理する必要があります。
自社に合ったシステムやアプリを選ぶ手間や運用コストがかかるのがデメリットだと言えるでしょう。
3.テレマーケティング成功の秘訣
テレマーケティング成功の秘訣は以下の4点です。
・目的を明確にすること
・対応手順を明確にすること
・対応話法集を充実させること
・FAQを充実させること
これらは業種やサービス内容に関わらず、すべてのケースで重要なポイントです。電話をかけるだけではメリットを活かせないので、注意点を押さえておきましょう。
◆目的を明確にする
テレマーケティングを行う目的は、成約率を高める、顧客の購買意欲を高める、見込み顧客を獲得する、既存顧客の相談窓口になる、など様々です。
例えば、自社サービスへの関心向上を目的とする電話なら、丁寧な説明に力を入れて話を聞いてもらうところから始めないといけません。強引に契約させようとすると、成約できないだけでなくお客様の反感を買って自社イメージが悪くなってしまいます。
このように、目的が違えば必要となるマーケティング活動が変わってきます。目的を明確にして、担当者が適切な行動をとれる状態を作りましょう。
目的を考える際には、目標数値を決めておくのもおすすめです。購買意欲を高めるためのテレマーケティングなら、サンプル申し込みをしてもらうことを目的にして、目標申込件数を決めておけば社員が行動しやすいです。
◆対応手順を明確にする
テレマーケティングを始める際には、顧客との会話を中断する時、苦情連絡があった時、営業担当へ引き継ぐ時などの対応手順を決めておきましょう。
これらを担当者任せにすると、「何の説明もなく、いきなり会話が途切れた!」「クレームの電話をしたのに謝罪の一言もないなんて!」とお客様に不快な思いをさせてしまうかもしれません。
苦情の連絡があったら、まずはお客様の怒りを真摯に受け止め、落着いたところで詳しい状況を説明してもらう、そして原因ごとに専門の担当者へ電話を繋ぐ…と対応手順が定まっていればトラブルの回避につながります。
問題が起きやすい場面を想定したら対応手順を明確にして、それらを従業員に周知させましょう。
◆応答話法集(トークスクリプト)を充実させる
トークスクリプトを分かりやすく言うと、お客様と話す際の台本のことです。話す内容が決まっていれば、新人職員でもスムーズに会話できます。
それに、会話のムードが悪くなった時にも、トークスクリプトがあるかないかで大きく違います。動揺するとフォロー方法が思い浮かばないものですが、決まったセリフがあれば何とか対応できるでしょう。
また、テレマーケティングではお客様と良い関係を築くためのトークスキルが必要です。顧客にメリットを感じさせるテクニックを使ったトークスクリプトを作成すれば、経験の浅い社員でも成約数を伸ばせます。
トークスクリプトを充実させるために、商品に関する専門的な知識やアピールポイントを盛り込んだ文章を何パターンか考えてみましょう。
◆FAQを充実させる
FAQとは、よくある質問に対する模範的な答えをまとめたもの。質問を受けた時に短時間で答えを示すためにはFAQが必須です。
事前に質問されそうなことを予測してFAQを作成しておき、テレマーケティングを開始してからは日々のやり取りの中で頻繁に登場する質問を拾い上げましょう。FAQの内容を充実させれば、問題解決にかかる時間を大幅に減らせます。
4.まとめ
インターネットが主流の時代になっても、声でのコミュニケーションであるテレマーケティングにしかできないことがあります。直接話すことで信頼関係を構築しやすいのが、テレマーケティングの魅力です。
しかし、目的をはっきりさせないと、要件定義が固まらず十分な成果を上げられません。それは外注する場合でも同じで、作業を丸投げするのは失敗のもとです。目的や目標を達成できる代行業者を選び、何のためにテレマーケティングを行うのかを共有しながらプロジェクトを進めましょう。
医療機関勤務を経てフリーライターへ転身。起業家向けメディアへの執筆をはじめ様々なジャンルのサイトにて執筆。