新潟県の制度融資/中小企業の資金調達のために

資金調達に、新潟県中小企業向け制度融資の利用を検討している人も多いのではないでしょうか。

 

新潟県が実施している新潟県中小企業向け制度融資は、中小企業者を対象に、資金調達をサポートし、利用者の融資目的や現状にあわせて、複数の融資メニューを用意しています。中には小規模企業者向けの融資制度もありますので、申込み前にその仕組みや内容を把握し、自分の条件にあったものを選択することが、資金調達を実現するポイントになるでしょう。

 

本記事では、新潟県中小企業向け制度融資の種類や融資対象者などについて、説明します。

 

1.     新潟県中小企業向け制度融資とは

新潟県中小企業向け制度融資は、県内で事業を営んでいる中小企業者を対象に、新潟県・新潟県信用保証協会・金融機関の3者が連携して、資金調達をサポートしている制度です。

 

融資は通常、金融機関と中小企業者との間で行なわれますが、新潟県中小企業向け制度融資の場合、融資を受けたい中小企業者は,金融機関を通じて新潟県信用保証協会に,公的保証人の申込みをします。そして、県信用保証協会が保証人の承諾をすると、金融機関は中小企業者に対して融資を実施します。

 

新潟県中小企業向け制度融資を利用できるのは、県内に事業所を構え、事業を展開している中小企業者です。

 

県が定義する「中小企業者」とは、以下の業種に属し、従業員数または資本金のいずれかの要件を満たしている個人、または法人のことを言います。

 

・引用:中小企業向け制度融資について(新潟県)

https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/chiikishinko/1356838447979.html

 

 

中小企業者の中でも、以下の事業規模の場合は、「小規模企業者」と見なされます。

・引用:同上

 

融資対象者とは逆に、県では、以下の業種に属している事業を営んでいる人を、新潟県中小企業向け制度融資の対象外としています。

・農業

・林業(一部を除く)

・漁業

・金融・保険業(一部を除く)

など。

 

また、制度融資が対象としている業種でも、以下に該当する人は、対象外となります。

・金融機関から取引停止処分を受けている人

・支払い義務のある県税を完納していない、または、その見通しが立たない人

・設備投資の対象となる設備の支払いを、すでに済ませてしまった人

など。

 

新潟県中小企業向け制度融資を利用する際は、事前に融資要件を満たしているかどうか、確認するようにしましょう。

 

 

2.新潟県中小企業向け制度融資の概要

新潟県中小企業向け制度融資は、資金調達の目的別に、融資メニューを用意しています。各融資メニューには、それぞれ融資要件や融資限度額などが設定されていますので、事前に確認し、自分の条件にあったものを選ぶようにしましょう。ここでは、「創業等支援資金」「経営安定資金」「小規模企業支援資金」「新型コロナウイルス感染症対応資金」「新型コロナウイルス感染症対策特別融資」の5種類についてご紹介します。

 

(1)     創業等支援資金

県内で事業を始めたい、または始めて間もない人を対象に、事業資金を融資する制度です。創業等支援資金には、「創業枠」「第二創業枠」「再チャレンジ枠」の3種類あります。

 

①「創業枠」

県内で新たに事業を始める、または、事業を始めてから5年未満の人を対象に、3,500万円を上限として、運転資金または設備資金を融資します。融資期間は最長10年間です。

 

②「第二創業枠」

新しい分野で事業を始めたり、事業転換を行なったりする人を対象に融資します。融資限度額は1億円で、融資期間は最長10年間と設定されています。

 

③「再チャレンジ枠」

過去5年以内に会社を廃業または解散し、新たに事業を始める予定のある人を対象に、2,000万円を上限に融資します。融資期間は7~10年以内です。

 

(2)     経営安定資金

経営安定資金は、一般的な事業資金を必要としている中小企業者に対して、融資を実施する制度です。経営安定資金には、「一般枠」と「建物取得枠」とがあり、前者は運転資金または設備資金を、後者は建物の取得を目的とした設備資金を、それぞれ融資します。一般枠の融資限度額は4,000万円で、建物取得枠は5,000万円が上限です。融資期間はどちらも最長7年間と決められています。

 

(3)     小規模企業支援資金

一般の事業資金が必要な小規模企業者に対して、設備資金または運転資金を融資します(借換も可能です)。小規模企業支援資金が対象としているのは、小口零細企業保証制度、または、その他の保証制度を利用している中小企業者です。

 

「小口零細企業保証制度」とは、責任共有制度(金融機関と信用保証協会が連携し、責任を共有しながら、中小企業者への経営支援を実施する制度)以外の全国統一保証制度のことです。

 

新潟県信用保証協会が実施している。小口零細企業保証制度の詳細は、こちらのページで確認できます。

 

・参考:一般の保証制度(新潟県信用保証協会)

http://www.niigata-cgc.or.jp/system/smallbiz#smallbiz02

 

 

小口零細企業保証制度を利用している人は2,000万円まで、それ以外の人は1,000万円まで借り入れ可能です。融資期間は最長10年間です。

 

(4)     新型コロナウイルス感染症対策特別融資(県制度融資)

新型コロナウイルス感染症の影響で売上が減少するなど、今後事業が悪化する見込みのある中小企業者を救済するための、緊急の金融支援制度です。

 

対象となるのは、県内で事業を営む中小企業者ですが、県税を滞納していたり、金融機関から取引停止処分を受けたりしている人は、利用できません。

 

新型コロナウイルス感染症対策特別融資の融資限度額は5,000万円で、融資期間は最長10年間です。

 

 

3.まとめ

新潟県中小企業向け制度融資の概要や融資対象者、種類について説明しました。新潟県が、金融機関や新潟県信用保証協会等と協調することによって、独自の融資要件を設けている新潟県中小企業向け制度融資は、中小企業者にとって利用しやすい融資制度と言えます。

 

中小企業者の中でも、小規模企業者に分類される人向けの融資制度や、新型コロナウイルス感染症の影響で、事業資金を必要とする人向けの融資制度も用意されていますので、該当する場合は、利用を検討してみると良いでしょう。

 

融資を利用するにあたり、融資額や返済期間、自分の条件にあった融資メニュー選びなど、一人で判断するのが難しいと感じることがあるかもしれません。その場合は、資金調達の専門家に相談し、スムーズに問題を解消することをおすすめします。

 

自分の条件にあった融資制度を選択し、資金調達につなげましょう。

 

 

佐藤 世莉(さとう せり)

英国の大学と大学院で社会学、国際政治学、国際関係学を学び、2018年、フリーランスのWebライターとなる。幅広いジャンルの記事を執筆し、得意分野はビジネス、起業、就職、教育。「考えて書く」ことをモットーに、Webコンテンツをはじめ文章構成や要約文、論文、翻訳など、さまざまなライティング活動を展開中。ロジカルシンキングマスター、論理的思考士、WEBライティング実務士の資格を保有。