人材確保等支援助成金とは/各コースの概要を紹介

「従業員がすぐに辞めてしまうから困っている」

「生産性を上げてゆとりある職場環境に改善したい」

こんな悩みがある場合には『人材確保等支援助成金』がおすすめです。

今回は、人材確保等支援助成金の各コースの概要や給付条件、給付額について詳しく解説します。

従業員の定着率が良くなれば、離職率が下がるだけでなく求人への応募数が増える効果も期待できます。人手不足で悩んでいる方は、人材確保支援助成金を有効活用しましょう。

 

1.人材確保等支援助成金とは

人材確保等支援助成金とは、人手不足を解消したい企業に対して国が財政的な面からバックアップする制度です。労働環境の向上を図る事業主が労働局などを通じて厚生労働省に申請し、一定の基準を満たせば助成金が支給されます。

 

人材不足を解消するためには、従業員の離職率を下げて定着率を上げるために労働条件等を整える必要があります。しかし、職場環境を改善したくても金に余裕がなく実行に移せない企業が多いです。そんな時に役立つのが人材確保等支援助成金です。

 

2.人材確保等支援助成金各コースの紹介

助成金交付の対象となるのは、雇用管理改善や生産性向上のための取り組みを行う企業です。様々なコースが用意されており、コースごとにルールが異なります。各コースの詳細を見ていきましょう。

 

(1)雇用管理制度助成コース

雇用管理制度助成コースは、評価・処遇制度、研修制度などを導入して職場環境の改善に取り組んだ場合に助成金が支給されます。新しい雇用管理制度を導入して離職率を下げることが目的です。

 

雇用管理制度助成コースを利用する際には、以下の5種類ある管理制度の中から1つ以上を必ず導入しなくてはいけません。

 

<助成対象となる管理制度>

①評価・処遇制度

人事評価制度、賃金制度、各種手当に関する制度等を新たに導入する

 

②研修制度

新入社員研修、管理職研修、マーケティング技能研修等を新規導入する

 

③健康づくり制度

法で定められた健康診断だけでなく胃がん検診や子宮がん検診等を追加導入する

 

④メンター制度

指導・相談役となるメンターが後輩をサポートするための新しい制度を導入する

 

⑤短時間正社員制度(保育士のみ)

従来通りの正社員制度に加えて、新たに短時間正社員制度を導入する

 

 

雇用管理制度助成コースを利用する際の流れは、計画の作成と認定→制度の導入と実施→離職率の確認の3ステップです。

 

<雇用管理制度助成コースの流れ>

ステップ1:雇用管理制度の導入について「雇用管理制度整備計画」を作成し、労働局の認定を受ける

 

ステップ2:雇用管理制度整備計画に書かれている実施期間内に制度の導入・実施を行う

 

ステップ3:雇用管理制度整備計画期間の終了から1年が経過するまでの離職率を、計画提出前1年間の離職率よりも目標値以上に低下させたら助成金が支給される

 

<離職率の低下目標>

雇用保険の被保険者数 低下させる離職率の目標
1~9人 15%
10人~29人 10%
30~99人 7%
100~299人 5%
300人以上 3%

 

雇用管理制度助成コースに申請して助成金を受け取るためには、これら3つの受給条件をすべて満たす必要があります。制度を導入しても離職率に関する目標が達成できないと助成金がもらえません。

 

<雇用管理制度助成コースの受給条件>

■雇用管理制度整備計画を作成して労働局の認定を受けること

■雇用管理制度整備計画の導入と実施

■離職率の低下目標の達成

 

なお、①~⑤のうち導入した管理制度の数が1つだけでも複数でも助成金額は一律です。

 

<雇用管理制度助成コースの受給額>

・57万円(生産性要件を満たした場合は72万円)

 

生産性要件とは、「生産性要件算定シート」に沿って計算した“生産性の伸び率”に関する条件。「生産性要件算定シート」は、人件費、減価償却費、動産・不動産賃貸料、租税公課、営業利益を足した数字を雇用保険被保険者数で割って生産性を算出するものです。

 

参考 厚生労働省 “労働生産性を向上させた事業所は労働関係助成金が割増されます”

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137393.html

 

離職率の低下目標に加えて、生産性要件も満たしていると助成金が割り増しされます。

 

つまり、制度の導入により社員の離職率を低下させれば助成金が支給され、さらに生産性の高い職場に変化させたら、より多くの助成金がもらえる仕組みです。

 

(2)介護福祉機器助成コース

介護福祉機器助成コースは、介護事業主が介護福祉機器などを導入して離職率の低下に取り組んだ場合に助成金が支給されます。

 

介護福祉機器助成コースの対象となる機器は、移動・昇降用リフト(立位補助器、非装着型移乗介助機器を含む) 、装着型移乗介助機器  、体位変換支援機器、特殊浴槽 です。令和2年度から、自動車用車いすリフト、エアマット、ストレッチャーは対象外となりました。

 

<介護福祉機器助成コースの受給条件>

■介護福祉機器の導入・運用計画を作成して労働局長の認定を受けること

■介護福祉機器を導入し効果を把握すること

■離職率の低下目標の達成

 

<離職率の低下目標>

雇用保険の被保険者数 低下させる離職率の目標
1~9人 15%
10人~29人 10%
30~99人 7%
100~299人 5%
300人以上 3%

 

介護福祉機器助成コースは、介護福祉機器の導入費用だけでなく、保守契約料や機器の使用法を徹底させるための研修も助成対象に含まれます。

 

<介護福祉機器助成コースの受給額>

・機器導入助成 助成対象の総額の25%

・離職率の目標達成助成 助成対象の総額の20%(生産要件を満たした場合は35%)

 

※上限金額はそれぞれ150万円

 

(3)介護・保育労働者雇用管理制度助成コース

介護・保育労働者雇用管理制度助成コースは介護事業主や保育事業主が賃金制度を整備して離職率の低下に取り組んだ場合に助成金が支給されます。

 

<介護・保育労働者雇用管理制度助成コースの受給条件>

■介護・保育賃金制度整備計画を作成して労働局の認定を受けること

■新たな賃金制度の整備・実施

■離職率の低下目標の達成

 

<離職率の低下目標>

雇用保険の被保険者数 低下させる離職率の目標
1~9人 15%
10人~29人 10%
30~99人 7%
100~299人 5%
300人以上 3%

 

離職率の低下目標は1回目が計画期間終了から1年経過するまでの期間、2回目が1回目の終了から3年経過するまでの期間と定められています。2回目は1回目の評価をした時の離職率を維持していることが条件です。

 

<介護・保育労働者雇用管理制度助成コースの受給額>

・制度整備助成 50万円

・目標達成助成1回目 57万円(生産性要件を満たした場合は72万円)

・目標達成助成2回目 85.5万円(生産性要件を満たした場合は108万円)

 

(4)中小企業団体助成コース

中小企業団体助成コースは、事業協同組合などが傘下の中小企業者(構成中小企業)に対して労働環境向上事業を行った場合に助成金が支給され、新たな雇用を生み出すことが目的です。

 

<中小企業団体助成コースの受給条件>

■雇用管理を改善させるための計画を立てて都道府県知事の認定を受けること

■構成中小企業に対して労働環境向上事業の実施計画を立てて労働局長の認定を受けること

■計画に沿った中小企業労働環境向上事業の実施

 

<中小企業団体助成コースの受給額>

・必要となった経費の3分の2の額

 

※認定組合等の区分は以下の通り

構成中小企業者数100未満:上限600万円

構成中小企業者数100以上500未満:上限800万円

構成中小企業者数500以上:上限1,000万円

 

(5)人事評価改善等助成コース

人事評価改善等助成コースは、人事評価制度と賃金制度を整備・実施した場合に助成金が支給されます。目的は、生産性の向上、賃金アップ、離職率の低下により人手不足を解消することです。

 

<人事評価改善等助成コースの受給条件>

制度整備助成

■人事評価制度計画を作成し労働局の認定を受けること

■人事評価制度の整備と人事評価制度計画の実施

 

目標達成助成

■計画前と3年後を比較して6%以上の生産性向上

■新しい人事評価制度の実施前と1年後を比較して2%以上の賃金引き上げ

■事業規模が300人以下なら0%以上の離職率低下

■事業規模301人以上なら1%以上の離職率低下

 

<人事評価改善等助成コースの受給額>

・制度整備助成 50万円

・目標達成助成 80万円

 

(6)設備改善等支援コース

設備改善等支援コースは、生産性を上げるための設備投資や賃金アップなどの雇用管理改善に取り組んだ場合に助成金が支給されます。設備改善等支援コースには1年タイプと3年タイプがあります。

 

<設備改善等支援コース1年タイプの受給条件>

計画達成助成

■雇用管理改善計画を作成し労働局の認定を受けること

■生産性を上げるための設備の導入

■設備導入前と1年後を比較して2%以上の賃金引き上げ

 

目標達成時助成

■導入した設備を引き続き活用していること

■設備導入前と3年後を比較して6%以上の賃金引き上げ

■設備導入前と3年後を比較して6%以上の生産性向上

 

<設備改善等支援コース1年タイプの受給額>

・設備導入費用 175万円以上1,000万円未満

・計画達成助成 50万円

・目標達成時助成 80万円

 

<設備改善等支援コース3年タイプの受給条件>

計画達成助成1回目

■雇用管理改善計画を作成し労働局の認定を受けること

■生産性を上げるための設備の導入

■設備導入前と1年後を比較して2%以上の賃金引き上げ

■設備導入前と1年後を比較して0%以上の生産性向上

 

計画達成助成2回目

■導入した設備を引き続き活用していること

■設備導入前と2年後を比較して4%以上の賃金引き上げ

■設備導入前と2年後を比較して2%以上の生産性向上

 

目標達成時助成

■導入した設備を引き続き活用していること

■設備導入前と3年後を比較して6%以上の賃金引き上げ

■設備導入前と3年後を比較して6%以上の生産性向上

 

<設備改善等支援コース3年タイプの受給額>

設備導入費用 計画達成1回目 計画達成2回目 目標達成時
240万円以上5,000万円未満 50万円 50万円 80万円
5,000万円以上1億円未満 50万円 75万円 100万円
1億円以上 100万円 150万円 200万円

 

設備改善等支援コースへの申請が可能な機器は、X線CT診断装置、鉄筋自動曲げ装置、サーボプレス、小袋自動投入機、受発注業務システムなどがあります。

 

(7)働き方改革支援コース

働き方改革支援コースは、働き方改革推進支援助成金の支給を受けた中小事業主が労働者を新しく雇い、雇用管理改善に取り組んだ場合に助成金が支給されます。

 

<働き方改革支援コースの受給条件>

計画達成助成

■雇用管理改善計画(1年)を作成し都道府県労働局の認定を受けること

■対象労働者の雇い入れ(計画開始6ヶ月以内)

■雇用管理改善の実施(計画開始6ヶ月以内)

■対象労働者を1年以上雇用し計画終了時には従業員数が増えていること

 

目標達成助成

■計画開始から3年後の従業員数が増えていること

■計画開始前と3年後を比較して6%以上の生産性向上

 

働き方改革支援コースで助成を受ける場合には、労働者を適切に雇用管理している事業主であること、各計画期間中の離職率が30%以下であること、など満たすべき要件がいくつかあります。

 

<働き方改革支援コースの受給額>

・計画達成助成 新しく雇った労働者1人あたり60万円(短時間労働者は40万円)

※労働者数は10名まで

 

・目標達成助成 労働者1人あたり15万円(短時間労働者は10万円)

※「3年後の増加人員数」か「計画達成時の人員数」の少ないほうの人数

 

(8)その他のコース

人材確保等助成金には、ここまで紹介したコース以外に「外国人労働者就労環境整備助成コース」、建設分野における「雇用管理制度助成コース」「若者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース」「作業員宿舎等設置助成コース」があります。

 

外国人労働者就労環境整備助成コースは、外国人独自の悩みを解決するための環境整備を行い、外国人労働者の定着に取り組んだ場合に助成金が支給されます。

 

建設分野における各コースは、建設業の中小事業主だけが利用できる助成金です。

 

3.まとめ

「人材不足を解消したいけど何から手を付けていいのか分からない…そもそも先行投資する余裕がない…」こんな悩みを抱えている方におすすめなのが、人材確保等支援助成金です。

 

快適に働ける職場環境を作らないことには、人手不足問題の根本的な解決になりません。人材確保等支援助成金を活用すれば、働きやすい会社作りに着手できますよ。

 

また、従業員の定着率を上げるための取り組みは長期的に継続して行う必要があります。助成金の支給を受けて終わり…ではなく、持続できる仕組みを作ることも大切です。

 

助成金を受けるためには手間や時間がかかります。それらのコストも計算した上で申請するか決めましょう。

 

 

 

 

 

執筆者:宮林 有紀(みやばやし ゆうき)

医療機関勤務を経てフリーライターへ転身。起業家向けメディアへの執筆をはじめ様々なジャンルのサイトにて執筆。

 

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