起業したいけどいろいろなリスクを考えてなかなか一歩踏み出せない人には、「フランチャイズ(FC)」という方法があることをご存じでしょうか?
現在、名だたるブランドがフランチャイズ加盟募集をしています。
全く経験のない業種でも、フランチャイズをうまく利用することで、低リスクで新事業のオーナーになることができるのです。
インターネット上にはフランチャイズ募集サイトなども多数あり、手軽に情報収集ができます。
しかし、世の中には数多くのフランチャイズが存在し、業種や業態、システムもさまざまです。
そこで今回は、フランチャイズの今さら人に聞けない基礎知識から、留意点など詳しく解説していきます。
1 フランチャイズ(FC)とは
フランチャイズ(FC)とは、加盟店(フランチャイジー)が事業本部(フランチャイザー)とフランチャイズ契約を結ぶことで、商標・チェーン名称、商品、ビジネス、経営ノウハウ、技術サポート、研修、商品開発など全てがひとつとなった「パッケージ」を得ることができるビジネスです。
加盟店はパッケージを利用する権利を得る代わりに、その対価としてロイヤリティと呼ばれる代金を本部に支払います。
加盟店は、本部が培ってきた経営のノウハウを活用できるため、個人事業や法人設立にチャレンジするよりも安心感があり、短期間で独立開業することができます。
本部からすると、直営店の方がお店の収益をダイレクトに享受することができるのですが、あえてフランチャイズを利用することで、スピーディーな多店舗展開が可能になるメリットがあるのです。
2019年度「JFAフランチャイズチェーン統計調査」によるとコンビニエンスストアやレストランをはじめとしたフランチャイズチェーンの売上高は約26兆6480億円で、店舗数などの微減はあるものの、売上高は10年連続の増加となっています。
フランチャイズを展開している業種は幅広く、コンビニエンスストアはその代表格と言えるでしょう。
その他、レストランなどの飲食業や学習塾、介護サービス、コインランドリーなど、ジャンルも広範囲なため、自分の得意分野だけではなく、どんな仕事にやりがいを感じるかなど、個性にあった「フランチャイズ」を見つけることが可能です。
2 フランチャイズ(FC)のメリット
フランチャイズ(FC)で開業することは、個人で開業する場合と違い、さまざまなメリットを受けることができます。
この項では、フランチャイズならではのメリットについて説明していきましょう。
メリット1 既に実績のある商品やサービスを扱うことができる
もし一から事業を始めようとすれば、自分で市場調査を行い競合他社の分析も入念に実施したうえで、自ら商品サービスを用意しなければなりません。
しかし、フランチャイズを利用すれば、フランチャイズ本部が既に多くのシェアを獲得している既存の商品やサービスを扱うことができます。
メリット2 よく知られているブランドや屋号を使うことができる
フランチャイズの場合、すでに確立したブランド力がある状態で経営を始めることができます。
フランチャイズ本部は、そのブランド力を維持・拡大していくため、莫大な費用をかけて商品開発や宣伝広告に注力しています。
知名度や認知度の高いブランドであれば、看板を掲げるだけである程度の集客を見込めるメリットがあります。
メリット3 本部の経営実績からなる運営のノウハウや業務マニュアルが整備されている。
個人で開業する場合は、仕入れ・接客・求人・広告など、経験にまつわるさまざまなことを全て自分で行わなければなりません。
この場合、一から学ぶ必要があり開業までにかなりの時間と労力がいるでしょう。
一方フランチャイズの場合は、経営にまつわる「業務マニュアル」や「運営のノウハウ」が、はじめから準備された状態でスタートすることができます。
また、直営店や過去の加盟店の実績から蓄積されている経験値を活かすことができるのも強みです。
メリット4 同じ立場のオーナーたちと繋がることができる
フランチャイズには、同じ志を持った仲間が各地にいます。
同じ境遇ゆえの悩みの共有や、有益な情報交換などが期待できます。
本部との縦の繋がりだけではなく、同じ立場のオーナーたちとの横のつながりを大事にしながら、人脈を広げることができます。
3 フランチャイズ(FC)加盟する際の留意点
前項ではフランチャイズ(FC)のメリットを解説してきました。
しかし、メリットだけではなく、デメリットもあるということを把握しておくことも大切です。
ここでは、デメリットを押さえながらフランチャイズ加盟の際の留意点についてお話していきたいと思います。
前述したように、フランチャイズはスピーディーに多店舗展開できるメリットがありました。
しかし裏を返せば近隣に同じフランチャイズ加盟店がある、もしくは自分が出店した後からも、どんどん同じフランチャイズ加盟店ができる可能性を含んでいます
近隣であればあるほど、シェアを取り合うライバル店となってしまうのです。
また、本部からのマニュアル通りに業務を行っていても、業績が伸びないことがあります。
地域性だったり、競合に負けていたりなど理由はさまざまです。
ここをもう少しこうしたら業績が伸びるかもしれないと思っていても、本部が決めたマニュアル通りに業務を遂行しなければならないため、経営の「自由度」が必然的に低くなります。
自分の好きなように店舗経営を行いたい人には、フランチャイズは向いていないかもしれません。
フランチャイズ契約では、フランチャイズ本部の社員が経営指導を行うために定期的に加盟店を訪問する規定が置かれていることがよくあります。
訪問する本部社員は経営指導員やスーパーバイザーと呼ばれ、経験年数の少ない若手の社員がやってくることもしばしばです。
自分よりも何歳も若い指導員に経営に関する助言を受けても、ご自身の経験や考えはとりあえず置いといて、前向きな気持ちで耳を傾けることが必要でしょう。
この本部社員といかに良好な関係を築くかが、フランチャイズの成功の鍵となるかもしれません。
4 まとめ
フランチャイズ(FC)と一口で言っても、業種や必要な資金などその選択肢はさまざまです。
「未経験であるためノウハウがない」、「独創的なアイディアが思いつかない」といった人にはスムーズな独立・開業ができる有効なシステムでしょう。
一からの独立・開業に比べたら、フランチャイズは自由度が少なく留意点もありますが、比較的低リスクでスムーズに開業することができます。
セミナーや説明会などに積極的に赴き、報収集をしっかり行うことで、自分の将来図をしっかりと描けるようなフランチャイズを選ぶことも重要です。
金融機関でのファイナンシャルプランナー業務を経て、フリーのライターに転身。金融や教育など幅広い分野のライティング業務に携わる。2級ファイナンシャルプランニング技能士や保育士など資格取得も積極的に行う。