JICC(日本信用情報機構)とは/信用情報について

「JICC(日本信用情報機構)」とは、クレジットカードやローンの契約内容や返済状況といった信用情報を管理、提供する信用情報機関です。起業資金について、融資での調達を考えている方は多いかと思いますが、金融機関などが融資を行う際、借り手の返済能力を判断するための重要な要素となるのが信用情報です。当記事では、JICCに関して詳しく見ていくとともに、信用情報とは何か、自分の信用情報を知るにはどうすればよいかについてもご紹介します。

1. JICC(日本信用情報機構)の概要

JICCには、消費者金融会社、クレジット会社、信販会社、金融機関、保証会社、リース会社といった1,336社(2020年7月現在)の会員会社が加盟しており、会員会社が持つ「信用情報」について収集、管理、提供などを行う「信用情報機関」として、融資などの取引を健全に、スムーズに進めるという役割があります。日本には、貸金業法で定められた要件を満たし、内閣総理大臣の指定を受けた3つの「指定信用情報機関」があり、JICCはそのひとつです。

「信用情報」という言葉は、あまり聞き慣れないかもしれません。簡単にいうと、信用情報は過去まで遡った借り入れや延滞状況などの情報で、金融機関から融資を受けるときに「返済能力はあるか」といった審査の参考情報として利用されます。

そのような信用情報を取り扱うJICCが、提供している主なサービスとしては以下のようなものがあります。

会員会社向けの信用情報提供サービス
会員会社が行う融資などの審査に関する参考情報として、JICCが管理する信用情報を会員会社へ提供しています。

消費者向けの信用情報開示制度
JICCが管理する信用情報について、消費者本人が自分自身の情報を確認できるという開示制度を設けています。

2. 信用情報とは

前項でも少し触れましたが、JICCが管理や提供をしている「信用情報」について、具体的にどのような情報を指すのか、あらためて説明します。

私たちは、商品やサービスの購入代金について、現金以外に、クレジットカードを使ったり、ローンを組んだりして支払うことがあります。
クレジットカードやローンなどを利用する場合、商品の代金を支払った時点では、お金を借りている状態です。実際にお金を支払うのは買い物をした後となるため、「将来的に必ず支払える」という「信用力」が必要になります。これは買い物に限らず、起業するためにお金を借り入れする場合も同様で、「確実に返済できる」という信用力が必須です。

こうした信用力が必要な、クレジットカードでの買い物、ローンの借り入れ、銀行からの融資などについて、一個人の過去から現在までの利用履歴や契約内容に関する情報が「信用情報」で、延滞なく期日通りに返済できているか、現在の残高はいくらかといった詳細な情報も含まれます。

そして金融機関などは、個人に融資を行う際、JICCなどから提供を受けた信用情報を参考にして、審査を行っているというわけなのです。

ちなみに、信用情報には氏名、生年月日といった特定の個人を識別できる個人情報が含まれますが、思想、信条、趣味といったセンシティブな個人情報は含まれません。また、信用情報を、社員採用のための審査やDM発送などに利用することは禁止されています。

3. 信用情報の開示方法

起業資金の融資を検討されている方の中には、「自分の信用情報は、どうなっているのだろう」と気になる方もいらっしゃることでしょう。
JICCに登録されている以下の信用情報については、「信用情報開示制度」の手続きを行えば、自分で内容を確認することができます。

<開示可能な情報>

  • 個人を特定する情報(氏名、生年月日、電話番号など)
  • クレジットやローンなどの利用金額、残高といった取引に関する情報
  • 支払遅延や法的手続きの有無など、取引から発生する情報

開示の手続きをする場合、JICCへ信用情報開示の申し込み(スマートフォン、郵送、窓口のいずれかの方法が可能)を行い、開示申込書および本人確認書類を提出します。請求には所定の手数料がかかります。
JICCから開示結果の回答が送られてきたら、間違いがないかよく確認しましょう。万一、身に覚えのない情報や事実と異なる情報があった場合には、JICCを通じて会員会社に調査依頼をすることもできます。

4. まとめ

JICCとはどのような機関なのか、信用情報とは何か、また信用情報の確認方法についてもご紹介しました。融資の審査が通るかどうかは、その後の事業に大きく関わります。日頃より、支払いの延滞などをしないよう心がけるとともに、少しでも不安があれば、融資の申し込みをする前に、ご自身の信用情報を確認してみるとよいかもしれません。

執筆者:吉田 裕美(よしだ ゆみ)

金融機関勤務を経て、フリーライターへ転身。
お金に関するコラム執筆をはじめ、企業のWebコンテンツやメルマガ制作など、幅広いジャンルのライティングに携わる。ファイナンシャル・プランニング技能検定2級。