会社設立のメリット/個人事業主との違いとは

独立起業しようと考えたとき、個人事業主としてやっていくのと、会社を設立するのでは、どちらがいいのでしょうか?この選択肢が存在するということは、それぞれに適した状況が存在するということ。
そこで今回は、会社を設立する場合は個人事業主とはどんな点が違うのか、また、会社を設立するにあたってのメリットとデメリットをご紹介します。これらの内容をしっかりと把握して、これから自分が進めようとしている事業は、会社を設立するべきなのか、それとも個人事業主としてやっていくべきなのかを検討してみてください。

1. 会社を設立する前に

まずは、会社を設立する必要があるのか、それとも個人事業主でいいのかを決めるために、以下の3つの点を検討してみましょう。

個人事業主で許認可が受けられるのか

許認可が必要な事業には、個人事業主でも許可を受けられるものと、法人にしか事業許可が受けられないものがあります。
法人にしか事業許可が得られないものの例としては、利用者負担が1割で残り9割は公費から支給される介護保険法で定められた各種介護サービスなどがあります。

一人で経営していけるのか

一人で経営していくことは可能です。経営に関する知識が十分ではなくても、事業の運営はできるでしょう。ただし、事業が順調に進めば当然ながらリソース不足になって外注や社内の人員を増やすことも考えなければいけません。
また、経営に関する専門的な知識を持ち合わせていないと、思わぬトラブルに巻き込まれてしまうことにもなりかねません。そのため、事前に勉強することや入念に準備しておくことをおすすめします。

事業の拡大を望むのか

事業を進めていくにあたって、自分の裁量で自由を大切にしていくのか、事業を拡大していくのかを選ぶ必要があります。将来、事業拡大を目指しているという場合は、一般的には会社設立が有利です。
会社を設立することを選んだ場合、事業拡大を望むのは当然のことです。会社を経営し、大きくしていくにはさまざまな知識が必要になります。また、一人ではどうしても限界があるので、自分が苦手なことは得意な人に任せるという判断で会社の設立を選ぶことも有効です。

2. 会社設立のメリット、デメリット

会社を設立することで、たくさんのメリットがあります。しかし、デメリットもあるため、その両方を事前にきちんと把握しておくことが大切です。

(1) 会社設立のメリット

信用力が増す

会社を設立するには、住所や代表者名、資本金の額、役員などを記述した必要書類を法務局へ提出し、登記する必要があります。その分、個人事業主と比較して会社を設立した方が信頼を得られることは間違いありません。特に法人相手の取引を行う際には、この信用力こそが重要になってくるでしょう。個人事業主とは取引をしないという会社も多数存在します。

許認可が受けられる

先にも紹介したように、法人化していないと許認可が受けられない事業があります。具体的には、訪問介護(ヘルパー派遣)や通所介護(デイサービス)、福祉用具貸与(介護用品レンタル)等の介護保険法で定められたサービスや、居宅介護(障害者へのヘルパー派遣)や共同生活介護(グループホーム)、生活介護(作業所)等の障害者総合支援法で定められたサービスを行う場合となります。
これらの事業を行う場合、法人の種類は特に定められていません。株式会社をはじめ、合同会社、NPO法人、一般社団法人、一般財団法人など何でも大丈夫です。ただし、医療法人は医師しか設立することができません。ほかにも、社会福祉法人を設立するにはまとまった資金が必要であるなどの法人形態によって特徴があるため注意が必要です。
また会社で許認可を受けた場合、個人事業のときと違って、後継者に引き継ぐ際にあらためて許認可を取り直す必要がありません。会社の場合は「役員変更の届出」などの書類を役所に提出するだけで引き継ぎできます。

資金調達しやすくなる

資金調達については、実績や将来の事業設計などに左右される部分が大きいと言えます。また、銀行から借り入れをするときにも信用力が大切です。
個人事業主は資金調達がしにくいということはないものの、法人化した場合には会社法に準拠する必要性から、意思決定の仕組みが明確であること、決算など財務・経理の透明性が担保されていることなどが銀行から好意的に評価されます。その分、借り入れできる額が大きくなったり、申請が通りやすくなったりするといわれています。

節税効果がある

個人事業の場合、所得に応じて税額が決まる累計課税となっており、課税所得が900万円を越えると33%、最高税率は45%になります。一方の法人の場合、法人税率は最大で23.2%です。さらに、所得が800万円以下の中小企業の場合は軽減税率が適応されて15%になります。
正確にはそれぞれの状況によって違ってくるものの、目安として年間所得が500万円を継続して超えている場合は、節税の面から法人にすることを検討しても良いのではないでしょうか。
ほかに、旅費規程の活用による節税や生命保険料が経費など、個人事業主よりも経費として認められる範囲が広くなっているのも特徴です。

人材を集めやすい

最近は世の中の雇用が不安定になっており、安定的な雇用を求める人が増えています。法人のほうが社会保険面や法律に準拠したルールなどの労働環境を整えやすく、優秀な人材を獲得しやすいでしょう。
そのため、よほど事業内容に魅力を感じてもらえない限りは、個人事業主が希望する人材を確保するのは難しいとい状況がありそうです。

決算月を自由に決められる

個人事業主の事業年度は、1月にはじまって12月に終わることが決められています。しかし、法人の場合は決算日を自由に決めることができるので、 繁忙期と決算事務が重ならないように調整できます。日本では3月決算、または9月決算にしている企業が多くなっています。

経営責任が出資の範囲で収まる

事業を進めていくなかで、多額の損害を被ってしまったとします。このとき、個人事業主の場合ではすべて個人で責任を取らなければいけません。しかし法人の場合の法的責任は、一部の会社形態を除いて、あくまで出資の範囲内に限定されます。

事業承継しやすい

個人事業主はあくまで個人なので、事業を引き継ぐ場合、従前の事業主体そのものが一旦閉じられ、新たな事業主体が開業するという流れになります。法人の場合は、代表者の変更手続きを済ませれば引き継ぐことができます。
例えば、個人事業主の場合、事業主が死亡して相続が発生すると、個人名義の預金口座が一時的に凍結されてしまいます。その際、支払が困難になるなど事業に支障が生じることがあるので注意が必要です。
一方で、法人の場合は代表者が死亡したからといって、会社の預金口座が凍結されたり、会社の資産が相続の対象になったりすることはありません。実務の引き継ぎや分担さえきちんと行われていれば、滞りなく事業をすすめていくことができます。

(2) 会社設立のデメリット

設立手続きに手間がかかる

会社を設立するには、定款の作成、登記などを用意する必要があり、時間と手間がかかります。そのための諸経費として最低でも、定款認証費用5万2千円と登録免許税15万円の20万円以上が必要です。
この他に資本金の準備が必要であるほか、毎年税務申告を行う際に、たとえ会社が赤字であっても法人住民税の均等割は支払わなければいけません。法人住民税の均等割は、東京都の場合で最低でも7万円は毎年かかります。また、会社を解散する際にも会社清算のための費用が必要となります。

経営のルールを細かく決める必要がある

会社を設立するにあたっては、定款や取締役会規則、就業規則、給与規則などのさまざまな社内規則を作成しなければいけません。特に、定款については、法人登記の際に準備しておかないといけないものになっています。

社会保険に加入しなければならない

法人の場合、健康保険、介護保険、厚生年金を指す「社会保険」と、雇用保険、労災保険を指す「労働保険」に加入しなければいけません。個人事業主の際に支払う国民健康保険と国民年金に比べて高く、保険料は社員の分を会社が折半するので、従業員の分だけ法人として支払う金額が増加します。

3. まとめ

このように、会社の設立にはそれぞれメリットとデメリットがあります。会社を設立すべきかどうかは、事業内容や収益、今後の目標なども踏まえた上で慎重に考えていくことが必要です。
もし、事業を大きくしていきたいという目標があるのであれば、会社設立を考えてみることをおすすめします。

執筆者:川中 千保(かわなか ちほ)

ファッション・情報系の雑誌編集や広告制作などを経て、WEBディレクターに転身。さまざまなジャンルや媒体に携わった経験と株式投資の企業分析知識を生かし、金融・ビジネス関連の編集ライターとしても活動中。

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