サテライトオフィスとは/メリットでデメリットを解説

サテライトオフィス勤務とは、在宅勤務やモバイルワークと並ぶテレワークの一種です。

 

「サテライトオフィスって聞いたことがあるけど、支店と何が違うのか分からない…」そんな方が多いのではないでしょうか?

 

サテライトオフィスは多様な働き方を実現させるためのものであり、今後さらにニーズが高まると予測される重要な存在です。基礎知識をつけておきましょう。

 

今回は、サテライトオフィスの定義やメリット・デメリットについて解説します。

 

1.サテライトオフィスとは

サテライトオフィスとは、企業・団体の本社や本拠地から離れた場所にあるオフィスのこと。サテライトは“衛星”という意味で、本社を中心として衛星のように周囲に散在する小規模オフィスを指します。

 

設置場所は都市部、郊外、地方と様々で、オフィススペースを自社の社員だけが利用する「専用型」と複数の企業でオフィスをシェアする「共有型」があります。

 

サテライトオフィスと似たイメージなのが支社・支店です。両者の違いは、設置される目的です。サテライトオフィスは社員の多様な働き方に対応するため、支社・支店は事業を円滑に進めるために設置されます。

 

そのため、支社・支店は組織としての機能を備えていますが、サテライトオフィスは必要最低限の機能のみで規模が小さいことが多いです。

 

2.サテライトオフィスのメリットとデメリット

サテライトオフィスが注目を集めている理由は、働き方改革の推進に役立つなど様々なメリットがあるからです。サテライトオフィスのメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。

 

(1)サテライトオフィスのメリット

◆従業員の生産性が向上する

サテライトオフィスを設置するメリットは生産性が上がることです。業務を行える場所が増えれば無駄な時間を減らせるからです。

 

例えば、

 

・長距離通勤による疲労が業務に悪影響を及ぼしている社員を、自宅近くのサテライトオフィス勤務にして万全の状態で仕事に集中してもらう

 

・外回り中の空いた時間はサテライトオフィスで業務を行うルールにして、残業時間を削減する

 

など、時間を有効活用できます。

 

そして、サテライトオフィスはモチベーションアップにも一役買います。都会にある本社ではなく自然の中で働きたい人や、地元での生活を続けたい人はサテライトオフィス勤務が最適です。ストレスを感じずに働ければ、意欲的に仕事に取り組めるでしょう。

 

◆人材確保対策になり優秀な社員を定着させることができる

サテライトオフィスを設置するメリットは、人材を確保しやすい上に、従業員の離職を防げることです。

 

サテライトオフィスがあれば本社通勤できない場所に住む人も採用できるので、人材不足に陥るリスクを減らせます。

 

また、長距離通勤に耐えられずに仕事を辞めるケースが多々ありますが、時間をかけて育て上げた有能な社員を失うのは痛手です。サテライトオフィスを設置して働きやすい環境を整えれば離職を予防できます。

 

それに、育児・介護中で退職を余儀なくされた人でも、サテライトオフィス勤務なら仕事を続けられるかもしれません。

 

サテライトオフィスを設置して働き方の選択肢を増やせば、優秀な社員を定着させることができるでしょう。

 

◆事業継続性が確保できる

本社以外の場所で業務が行える仕組み作りは、自然災害やテロなどの緊急時対策になります。何らかの事情で本社が機能停止した場合でも、サテライトオフィスがあれば事業を継続できるからです。

 

事業資源の分散により、事業継続性を確保できるのがサテライトオフィスのメリットです。

 

(2)サテライトオフィスのデメリット

◆セキュリティ面の管理が難しい

サテライトオフィスの最大のデメリットは、情報セキュリティの管理が難しいことです。

 

サテライトオフィスを設置する際にはICT(Information and Communication Technology:情報通信技術環境)を整えるだけでなく、セキュリティ面についても万全の準備をしなければなりません。社内システムに外部からアクセスする形になるので、情報漏洩のリスクが高まるからです。

 

セキュリティ対策の例としては、社内システムまでの通信経路を暗号化するVPNやウイルス対策ソフトの導入、サテライトオフィス勤務社員へのITリテラシー教育、安全性が高いWiFiルーターを使う、などが挙げられます。

 

また、インフラが整っていてもセキュリティ対策が十分ではない施設もあるので、利用施設の通信環境についても要チェックです。

 

不特定多数の人物が出入りする共用型サテライトオフィスでは、一般的なセキュリティ対策以外に、のぞき見防止対策や紛失・盗難対策、個室の準備、監視カメラ、入退館管理が必要になるケースもあります。

 

サテライトオフィスの数が多いほどセキュリティに関するコストが増えるので、設置前に計算しておきましょう。

 

◆コミュニケーションが取りにくい

サテライトオフィスのもうひとつのデメリットは、社員がコミュニケーション不足に陥りやすいことです。

 

同じ場所で働いていれば気軽にコンタクトがとれますが、サテライトオフィス勤務だと本社勤務の社員に声をかけづらく、進捗状況の把握も難しいです。

 

サテライトオフィスを設置する際には、社員がコミュニケーションを取りやすい仕組みを作ることが大切です。

 

メールだけでなく、情報共有しやすいビジネスチャットツール(LINE WORKS、slack、Chat workなど)、顔を見てコミュニケーションがとれるWEB会議システム(Zoom、Teams、Skypeなど)を活用しましょう。

 

3.まとめ

セキュリティ面や社員間のコミュニケーションに関する問題点があるものの、サテライトオフィスにはデメリットを上回るメリットがあると言えます。

 

労働人口の減少により働き方改革を推進する必要があることに加えて、新型コロナウイルスの影響で働き方が大きく変わりました。働く人達からのニーズが高まっているので、今後サテライトオフィスを設置する企業がより一層増えると予測できます。

 

働きやすい環境を整えたい企業は、サテライトオフィスの設置を検討してみましょう。

執筆者:宮林 有紀(みやばやし ゆうき)

医療機関勤務を経てフリーライターへ転身。起業家向けメディアへの執筆をはじめ様々なジャンルのサイトにて執筆。