宮城県では、資金調達を必要としている中小企業者向けに制度融資を実施しています。どのような制度融資なのか、気になる人も多いのではないでしょうか。
この宮城県中小企業融資制度には、低金利で融資が受けられるなど、借りる側の負担を軽減している点に特徴があります。さらに、1人でも多くの人が資金調達を実現できるよう、複数の資金メニューも用意されています。
本記事では、宮城県中小企業融資制度について関心を寄せている人に、制度の概要や融資要件、各資金メニューの種類など、事前に知っておきたいことについてご紹介します。
1. 宮城県中小企業融資制度とは
宮城県中小企業融資制度とは、宮城県が宮城県信用保証協会や取扱金融機関らと連携して実施している、中小企業者向けの融資制度のことです。
県は独自の融資要件を設定し、中小企業者はその要件を満たすことで、融資の利用が可能となります。さらに県では信用保証料の一部を負担したり、融資原資の一部を金融機関に預託したりすることで、融資の低金利・長期利用を実現しました。
制度における宮城県信用保証協会の主な役割は、利用者に対して保証付けをすることです。これにより、利用者は原則として保証人なしで、融資に申し込めます。
宮城県中小企業融資制度の対象者は、原則として県内に事業所や店舗を構え、事業を展開している「中小企業者」「小規模企業者」「協同組合等」「特定非営利活動法人(NPO法人)」「医業を主たる事業とする法人」です(ただし、資金メニューによっては、県内で創業を予定している人も対象になります)。
各対象者の定義は、以下のとおりです。
①中小企業者
「資本金」または「従業員数」のどちらかを満たすことで「中小企業者」と見なされます。
・引用
https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/856371.pdf
②小規模企業者
中小企業者の中でも、事業規模が以下の場合は、「小規模企業者」と定義されます。
・引用(同上)
③協同組合等
主な「協同組合等」は、以下のとおりです。
・生活衛生同業組合
・中小企業等協同組合
・商工組合
・商店街振興組合
・協業組合
など。
④特定非営利活動法人(NPO法人)
従業員300人以下のNPO法人が対象です。ただし、業種が卸売業またはサービス業の場合は100人以下、小売業の場合は50人以下と、それぞれ決められています。
⑤医業を主たる事業とする法人
メイン事業が医業で、従業員が300人以下の法人が該当します。
以下の団体は、融資制度の対象外です。
・学校法人
・宗教 法人
・一般社団・財団法人
・公益社団・財団法人
・休眠組合
・休眠会社
また、以下の業種に属している場合は、宮城県中小企業融資制度を利用することができません。
・農業
・林業
・漁業
・保険サービス業または保険媒介代理業を除く金融保険業
・遊興娯楽業
必要な許可や認可を受けていない人や、未納している税金がある人は融資を受けられないなど、融資を受けられない要件は他にもあります。詳しくは、宮城県信用保証協会のサイトで確認できます。
・参考:信用保証をご利用いただけるかた(宮城県信用保証協会)
https://www.miyagi-shinpo.or.jp/guide/conditions/
2.宮城県中小企業融資制度の概要
宮城県中小企業融資制度には、これから事業を始めたい人から、新型コロナウイルス感染症で経営が悪化した人まで幅広く対応するため、複数の資金メニューが設定されています。ここでは、主な資金メニューについて、その概要や融資要件、融資限度額などについてご紹介します。
(1) 創業育成資金
宮城県内で事業を始めようとしている、または始めてから日の浅い中小企業者向けの融資制度です。
制度を利用するには、以下のいずれかの要件を満たしている必要があります。
・県内で1~2か月の間に、創業する予定のある個人または法人
・県内で創業してから5年未満の個人または法人
・展開している事業のほかに、新たに会社または子会社を設立する予定のある法人
・展開している事業のほかに、新たに会社または子会社を設立してから5年未満の法人
創業育成資金は運転資金または設備資金を目的に、3,500万円を上限として融資し、融資期間は最長10年間と決められています。
(2) 一般資金
この制度は、通常の事業資金(運転資金または設備資金)を必要としている中小企業者に対して、8,000万円を上限に融資します。
融資対象者は、以下のいずれかの要件に該当する県内の中小企業者です。
・経営基盤を立て直したり、経営体質を改善したりする必要のある人
・外部要因(経済変動等)により経営が不安定となり、資金調達を必要としている人
一般資金の融資期間は、運転資金が7年以内で、設備資金が10年以内と設定されています。
(3) 小口事業資金
県内の小規模企業者を対象とした制度です。小口事業資金の融資限度額は、2,000万円で、融資期間は運転資金・設備資金共に7年以内と決められています。小口事業資金は、固定金利を採用していますが、商工会議所等が実施している経営指導やあっせんを受けている場合、金利は優遇されます。
(4) 新型コロナウイルス感染症伴走支援型資金
宮城県は、新型コロナウイルス感染症の拡大で、経営にダメージを受けた中小企業者の資金調達を支援するため、「新型コロナウイルス感染症伴走支援型資金」を創設しました。
この融資制度は、経営行動計画書を基に、金融機関が中小企業者に対して四半期ごとのフォローアップを5事業年度にわたって実施します(伴走支援)。また、保証料の一部を国が補助するなどして金利を下げ、融資による負担を減らしています。
融資を利用するには、経営行動計画書を策定し、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
①市町村長からセーフティネット保証4号と認定された人
宮城県内で1年以上継続して事業を展開している中小企業者で、新型コロナウイルス感染症の影響により直近1ヶ月間の売上が、前年同月と比べて20%以上減り、今後2ヶ月間(計3ヶ月間)の売上も、前年同期と比べて20%以上減ることが見込まれている人が対象です。
②市町村長からセーフティネット保証5号と認定された人
宮城県内で1年以上継続して事業を展開している中小企業者で、直近3ヶ月間の売上が、前年同期と比べて15%以上減ると見込まれている人が対象です。
③市町村長から危険関連保証と認定された人
宮城県内で1年以上継続して事業を展開している中小企業者で、新型コロナウイルス感染症の影響により直近1ヶ月間の売上が、前年同月と比べて15%以上減り、今後2ヶ月間(計3ヶ月間)の売上も、前年同期と比べて15%以上減ることが見込まれている人が対象です。
セーフティネット保証と危険関連保証の詳細は、中小企業庁のホームページで確認できます。
・参考:セーフティネット保証制度(中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_gaiyou.htm
認定を受けるには、事業所の住所がある市町村の商工担当課に申請書を提出します。新型コロナウイルス感染症対応資金の融資限度額は4,000万円で、最長10年間利用可能です。
3.まとめ
宮城県中小企業融資制度の概要から融資対象者、主な資金メニューの種類についてご紹介しました。
宮城県中小企業融資制度は、これから事業を始めたい、または、何かしらの理由で経営を続けることが困難となり、資金調達が必要な中小企業者を対象としています。1人でも多くの人に利用してもらおうと、資金メニューを豊富に用意したり、借り入れる際の負担を軽減したりと、直接銀行に融資を申し込むよりも、利用しやすい面があります。資金調達が必要という場合は、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
融資を受けるには、自分の条件に合った資金メニューや融資額、返済方法などを決定し、決められた方法にそって手続きをすることが求められます。1人で作業を進めることが難しいという場合は、資金調達の専門家に相談することをおすすめします。
条件に合った制度を利用して、資金調達の問題を解消しましょう。
英国の大学と大学院で社会学、国際政治学、国際関係学を学び、2018年、フリーランスのWebライターとなる。幅広いジャンルの記事を執筆し、得意分野はビジネス、起業、就職、教育。「考えて書く」ことをモットーに、Webコンテンツをはじめ文章構成や要約文、論文、翻訳など、さまざまなライティング活動を展開中。ロジカルシンキングマスター、論理的思考士、WEBライティング実務士の資格を保有。