岐阜県の制度融資/中小企業の資金調達のために

岐阜県では、中小企業者向けに制度融資を実施しています。この岐阜県中小企業資金融資制度は、融資を受けたい中小企業者の資金使途や、必要な融資額などに幅広く対応するために、複数の資金メニューを用意しています。

 

各資金メニューには、融資要件や融資限度額、融資期間など細かく設定されていますので、融資を利用する前に情報を収集して、内容を確認しておく必要があります。

 

この記事では、岐阜県中小企業資金融資制度の利用を検討している人に、融資の概要や主な資金メニューの種類などについて、ご紹介します。

 

1.          岐阜県中小企業資金融資制度とは

岐阜県中小企業資金融資制度とは、岐阜県が中心となって行なっている、中小企業者向けの融資制度のことです。県は金融機関や岐阜県信用保証協会と連携し、取扱金融機関を通じて融資を実行します。

 

岐阜県中小企業資金融資制度の特徴は、県・金融機関・信用保証協会の3者が連携して、制度を運営しているという点です。通常、中小企業者は融資を受ける際、銀行などの金融機関に直接申し込みをしますが、申し込みに必要な保証人は、岐阜県中小企業資金融資制度では不要になります。また、融資利率も、銀行に直接申し込むよりも低めに設定されています。

 

岐阜県中小企業資金融資制度を利用できるのは、原則として県内で事業を展開している、中小企業者です。

 

この「中小企業者」について、岐阜県は以下のように定義しています。

以下の業種に属している場合も、「中小企業者」です。

・引用:対象となる方(岐阜県)

https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/242595.pdf

 

「資本金」または「従業員数」のいずれかに該当していれば、中小企業者と見なされます。

 

ただし、以下に該当する人は融資対象者となりませんので、注意しましょう。

・融資対象外とされている業種(農林漁業、金融業など)

・遊興飲食業に属していて、公序良俗に反するなどと見なされる業種

・銀行から取引停止処分を受けている人

・「宗教法人」「社会福祉法人」「学校法人」「財団法人」「社団法人」等

・従業員300人以下の「医療法人」

・医業をメインに事業を展開している、従業員300人以下の「社団法人」「社会福祉法人」「財団法人」

・「休眠組合」「休眠会社」

・暴力団または暴力団に属する組員と関係のある人

 

岐阜県中小企業資金融資制度の申し込み先は、取扱金融機関です。取扱金融機関の種類は、銀行や信用金庫など複数あります。どこに申し込めるかは、以下で確認できます。

・参考:「岐阜県中小企業資金融資制度」のお申し込み先(岐阜県)

https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/240339.pdf

 

手続き方法は、各金融機関によって異なります。

 

2.岐阜県中小企業資金融資制度の概要

岐阜県中小企業資金融資制度には、さまざまな資金メニューがあります。1人でも多くの中小企業者が融資を受けやすいように、岐阜県では定期的に資金の創設や拡充を実施していますが、どのような資金メニューがあるのでしょうか。主なものについて、ご紹介します。

 

(1)            創業支援資金

岐阜県内でこれから新しく事業をスタートさせる、または創業してから日の浅い中小企業者向けに、運転資金または設備資金を融資する制度です。

 

この制度の対象者は、以下のとおりです。

①新規に開業する人

②事業歴1年未満の人

③創業してから1年以上5年未満で、県信用保証協会の「既存保証残高」が、2,000万円以内の人

 

創業支援資金の限度額は、運転資金が4,000万円まで、設備資金が1億円までと決められています。ただし、③に該当する人は、運転資金・設備資金共に2,000万円を限度としています。

 

融資期間は、運転資金が7年以内、設備資金は10年以内です。創業支援資金の融資利率は年1.2%で、信用保証料は、無担保・有担保共に県が全額負担します。

 

(2)            経営安定資金

経営安定資金は、事業資金の調達を検討している中小企業者向けに設定された制度です。ただし、県内に事業所を構え、事業を展開している中小企業者に限られます。

 

融資限度額は、運転資金が4,000万円までで、設備資金は6,000万円までと決められています。融資期間は、運転資金が最長7年間、設備資金は最長10年間利用できます。

 

融資利率は、信用担保の有無で変わります。有担保の融資利率は年2.0%で、無担保の場合は年1.8%です。

 

(3)            小規模企業資金

小規模企業資金は、中小企業者の中でも小規模企業者に分類される人を対象にした、融資制度です。「小規模企業者」は、次のように定義されています。

・従業員数が5人以下のサービス業・卸売業・小売業

・上記以外の業種で、従業員数が20人以下の個人または法人

・従業員数が20人以下の医業を展開している法人

 

小規模企業資金は、運転資金・設備資金共に2,000万円を上限に融資します。融資期間は、運転資金が7年以内で、設備資金は10年以内と決められています。

 

(4)            危機関連対応資金

危機関連対応資金は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、業況が悪化した中小企業者を対象に、資金調達を支援する融資制度です。

 

融資対象者は、市町村長から危機関連保証の認定を受けた人に限ります。この「危機関連保証」とは、「中小企業信用保険法第2条6項」に基づいた保証制度のことです。

 

詳しくは、中小企業庁のホームページで確認できます。

・参考:危機関連保証制度(中小企業庁)

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_crisis.htm

 

危機関連対応資金の融資限度額は1億円で、運転資金なら最長7年間、設備資金なら最長10年間利用可能です。また、融資利率は年1.0%、信用保証料(事業者負担)は年0.6%と、それぞれ設定されています。

 

(5)            新型コロナ経営改善資金

新型コロナ経営改善資金は、新型コロナウイルス感染症の影響で、経営が悪化した中小企業者のための融資制度です。

 

この制度を利用するには、市町村長からセーフティネット保証4号・セーフティネット保証5号・危機関連保証のいずれかの認定を受けている必要があります。

 

各対象者の要件は、以下のとおりです。

①セーフティネット保証4号

直近1ヶ月間の売上高が、前年同月と比較して20%以上減少し、今後2ヵ月を含む3ヶ月間の売上高も、前年同期と比較して20%以上減少することが見込まれている人。

 

②セーフティネット保証5号

直近1ヶ月間の売上高が、前年同月と比較して5%以上減少し、今後2ヵ月を含む3ヶ月間の売上高も、前年同期と比較して5%以上減少することが見込まれている人。

 

③危機関連保証

直近1ヶ月間の売上高が、前年同月と比較して15%以上減少し、今後2ヵ月を含む3ヶ月間の売上高も、前年同期と比較して15%以上減少することが見込まれている人。

 

セーフティネット保証の詳細は、中小企業庁のホームページで確認できます。

 

・参考:セーフティネット保証制度(中小企業庁)

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_gaiyou.htm

 

新型コロナ経営改善資金の融資限度額は4,000万円で、融資期間は10年以内です。保証人は、原則として不要です(法人代表者を除く)。信用保証料(事業者負担)は、年0.1%と設定されていて、融資利率は年1.4%に固定されています。

 

 

3.まとめ

岐阜県中小企業資金融資制度の概要や融資対象者、主な資金メニューについてご紹介しました。

 

岐阜県中小企業資金融資制度には、中小企業者の資金調達を幅広くサポートするために、複数の資金メニューを用意しています。「条件に合うかもしれない」という資金メニューがあったら、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

金融機関に直接申し込むよりも、ハードルが低いと言われている岐阜県中小企業資金融資制度ですが、手続きや資金メニューの選定、返済スケジュールなど、制度を利用する上で、判断に迷うことが出てくるかもしれません。1人で解決することが難しい場合は、資金調達の専門家に相談することをおすすめします。

 

融資に関する疑問を解消し、スムーズに資金調達を進めていきましょう。

 

執筆者:佐藤 世莉(さとう せり)

英国の大学と大学院で社会学、国際政治学、国際関係学を学び、2018年、フリーランスのWebライターとなる。幅広いジャンルの記事を執筆し、得意分野はビジネス、起業、就職、教育。「考えて書く」ことをモットーに、Webコンテンツをはじめ文章構成や要約文、論文、翻訳など、さまざまなライティング活動を展開中。ロジカルシンキングマスター、論理的思考士、WEBライティング実務士の資格を保有。